• 2025年8月15日

下肢静脈瘤の症状・診断・治療・治療後の経過について

下肢静脈瘤は、足の血管の弁が正常に機能しなくなることで血液が逆流し、血管が拡張して浮き出る病気です。多くの方が悩まれているこの疾患について、症状から診断・治療・治療後の経過について、まとめて専門医の視点から詳しく解説します。

この記事を書いた、院長の高見 友也です。

『不安を安心に』変えることのできるクリニックを目指して、幅広い診療を行っています。ここでは、いくつかの専門医をもつ立場から、病気のことや治療のことをわかりやすく説明しています。

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目次

  1. 下肢静脈瘤とは
  2. 症状について
  3. 診断方法
  4. 治療方法
  5. 治療費用について
  6. 手術前後の注意点
  7. 放置リスクと治療の重要性
  8. よくある質問と誤解

1.下肢静脈瘤とは

下肢静脈瘤は、足の静脈内にある逆流防止弁が機能不全を起こし、血液が心臓に戻りにくくなることで発症します。血液が足に溜まりやすくなり、静脈の圧力が高くなることで血管が拡張し、皮膚表面に浮き出るようになります。

立ち仕事や座り仕事が多い方、妊娠や出産を経験された女性、遺伝的要因がある方に多く見られます。年齢とともに発症頻度も高くなり、成人の約10-15%が何らかの下肢静脈瘤を患っているとされています。

詳しい病態や発症メカニズムについては、
『下肢静脈瘤はなぜ起こる?病態から理解する足の血管の仕組み』で詳しく解説しています。

2.症状について

◎早期発見のポイント

以下のような症状がある場合は早めの受診をお勧めします。

  • 立ち仕事後の足の重だるさ
  • 夕方のむくみ
  • 足の血管が目立ってきた
  • 皮膚のかゆみや変色

知っておきたい下肢静脈瘤のサイン|専門医が教える早期発見のポイントでも詳しく説明していますので、ご参照ください。

◎初期症状

下肢静脈瘤の初期症状として最も多いのは、足のだるさや重い感じです。特に夕方になると症状が強くなり、朝起きた時には軽減しているのが特徴です。

  • 足のだるさ、重い感じ
  • むくみ
  • 痛みや圧迫感
  • かゆみ
  • 夜間のこむら返り

詳しくは、「睡眠中のこむら返りはなぜ起こる?専門医が教える夜間の足つり対策と応急処置」もご覧ください。

◎進行した症状

病状が進行すると、より深刻な症状が現れます:

  • 血管の浮き出しや蛇行
  • 皮膚の色素沈着
  • うっ滞性皮膚炎
  • 皮膚潰瘍
  • 血栓性静脈炎

足の血管が浮き出る下肢静脈瘤とは?種類・症状・治療法を専門医が徹底解説では、症状の詳細な分類と進行度について解説しています。

◎合併症と対処法

≪皮膚潰瘍≫

進行した下肢静脈瘤では皮膚潰瘍を合併することがあります。下肢静脈瘤に伴う皮膚潰瘍の治癒メカニズムと回復プロセスで詳しく解説していますが、適切な治療により治癒は可能です。
治らない下腿潰瘍の原因は静脈瘤かもしれません – 専門医が教える見逃されやすい原因と治療法も合わせてご参照ください。なお潰瘍治療は時間がかかることが多いです。

≪血栓性静脈炎≫

足の血管が腫れて痛い!血栓性静脈炎の症状・原因・治療を詳しく解説で詳しく説明していますが、適切な診断と治療が重要です。

≪静脈瘤破裂による出血≫

まれに静脈瘤が破れて出血することがあります。下肢静脈瘤が破れて出血した時の応急処置|専門医が教える対処法と予防策で緊急時の対応方法を説明しています。

3.診断方法

◎問診と視診

診断では、まず詳しい問診を行います。症状の経過、家族歴、職業、既往歴などを確認します。視診では、立位での血管の状態を観察し、皮膚の変化も詳しくチェックします。

◎超音波検査(エコー検査)

下肢静脈瘤の診断で最も重要な検査が超音波検査です。血液の逆流の有無や程度、血管の太さや形状を詳しく調べることができます。痛みもなく、安全で確実な検査方法です。

下肢静脈瘤の検査って痛いの?診察から治療までを徹底解説では、検査の流れや患者さんが感じる不安について詳しく説明しています。

◎受診先の選択

下肢静脈瘤は何科を受診する?専門医はどこにいる?で解説している通り、血管外科や心臓血管外科、皮膚科での診療が可能です。南大阪で下肢静脈瘤の治療ができる病院をお探しの方へ|専門医が対応しますもご参照ください。

4.治療方法

◎保存療法

軽度の下肢静脈瘤や手術適応のない場合には、まず保存療法を行います:

≪弾性ストッキング≫

最も重要な保存療法です。
下肢静脈瘤や足のむくみの治療に欠かせない!正しい弾性ストッキングの選び方と着用方法で詳しく解説していますが、適切な圧力と正しい着用方法が重要です。

≪生活習慣の改善≫

  • 適度な運動
  • 足の挙上
  • 長時間の立位や座位の回避
  • 体重管理

◎手術療法

症状が強い場合や美容的な問題がある場合は、手術療法が必要になります。

下肢静脈瘤の治療選び!手術と保存療法のメリット・デメリットを専門医が解説では、各治療法の詳細な比較を行っています。

≪血管内焼灼術≫

レーザーや高周波を用いて血管内から静脈を閉塞させる方法です。低侵襲で日帰り手術が可能です。

≪血管内塞栓術(グルー治療)≫

医療用接着剤を用いて静脈を閉塞させる最新の治療法です。血管内焼灼術 vs 血管内塞栓術(グルー治療): 下肢静脈瘤の最新治療法を比較!で詳しい比較を行っています。

≪ストリッピング手術≫

従来からある外科的治療法で、問題のある静脈を直接除去します。

◎セルフケアの可能性

下肢静脈瘤は自分で治せる?オススメの予防法や治療法を徹底解説で説明していますが、完全な自己治癒は困難で、適切な医療の介入が必要です。

5.治療費用について

下肢静脈瘤の治療費用は治療法によって大きく異なります。下肢静脈瘤治療にかかる実際の費用は?専門医が教える治療法別料金と補助制度で詳しく解説していますが、保険適応の治療も多くあります。

6.手術前後の注意点

◎手術前の準備

下肢静脈瘤手術前後で注意すべき薬物リスト|治療を安全に受けるためにで詳しく説明していますが、特に抗凝固薬の取り扱いには注意が必要です。

◎手術後の経過

手術直後は弾性包帯やストッキングを着用し、適度な歩行を心がけます。多くの場合、日帰りまたは1泊程度の入院で済みます。

≪短期経過(1-2週間)≫

下肢静脈瘤術後の過ごし方とは?回復を早めるためのポイントで詳しく説明していますが、この時期は以下の点に注意します:

  • 弾性ストッキングの継続着用
  • 適度な歩行
  • 長時間の立位や重労働の回避
  • シャワー浴の許可時期の確認

≪中長期経過(1ヶ月以降)≫

下肢静脈瘤の手術後はどう過ごす?再発予防と日常生活の注意点を解説で解説している通り、徐々に日常生活に復帰していきます。

◎症状の改善経過

下肢静脈瘤に伴う症状って、術後どうなるの?で詳しく説明していますが、症状の改善には個人差があります。だるさやむくみは比較的早期に改善しますが、皮膚の変化の回復には時間がかかります。

7.放置リスクと治療の重要性

下肢静脈瘤を放置すると危険?専門医が解説する症状と治療の重要性で詳しく説明していますが、適切な時期での治療が重要です。

下肢静脈瘤は命に関わる?専門医が解説する誤解と正しい知識では、よくある誤解についても解説しています。

8.よくある質問と誤解

患者さんからよくいただく質問については、下肢静脈瘤のよくある質問と誤解を専門医が解説|正しい知識で不安解消で詳しく回答しています。

なお、下肢静脈瘤に抗凝固薬は不要!専門医が解説する正しい治療法で解説している通り、下肢静脈瘤自体の治療に抗凝固薬は基本的に不要です。

治療失敗を避けるために

下肢静脈瘤治療で失敗しないために!複数の症状をまとめて診る総合クリニックの強み:専門クリニックや専門外来との違いについてで解説している通り、適切な医療機関選びが重要です。


【まとめ】

下肢静脈瘤は決して珍しい病気ではありませんが、適切な診断と治療により症状の改善は十分可能です。早期発見・早期治療により、より良い結果が期待できます。

気になる症状がある場合は、まず専門医に相談することをお勧めします。治療方法も多様化しており、患者さんの状態や希望に応じた治療選択が可能です。

日常生活での予防や症状軽減のための工夫も重要ですが、根本的な治療には医療の介入が必要です。正しい知識を持って、適切なタイミングで治療を受けることが、快適な生活を取り戻すための第一歩となります。

気になった方やご心配な方、
早めに専門医へご相談ください。

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