- 2024年12月25日
「治らない下腿潰瘍の原因は静脈瘤かもしれません – 専門医が教える見逃されやすい原因と治療法」

下腿潰瘍でお悩みの方の中には、「なかなか治らない」「治療を続けても改善しない」という方も少なくありません。また明らかな原因はないのに潰瘍ができたという方もおられると思います。
実は、治りにくい下腿潰瘍や原因のはっきりしない下腿潰瘍の背景に、下肢静脈瘤が原因であることがあります。また明らかな血管のボコボコ(こぶ)があれば、発見されることもありますが、中には血管のボコボコ(こぶ)がないにも関わらず、下肢静脈瘤が原因となっている方もおられます。
下肢静脈瘤があると、足の血液が効率よく心臓に戻れず、うっ滞してしまいます。この血液のうっ滞が、潰瘍を治りにくくさせる大きな原因となっていますので、下肢静脈瘤が原因となっている下腿潰瘍は下肢静脈瘤の治療をしないと治りにくいです。
✓なぜ下肢静脈瘤があると、潰瘍は治りにくいの?
✓どういったことで、下肢静脈瘤を疑うの?
✓治療って、どんなことをするの?
このような疑問や不安を解決できます。

この記事を書いた、院長の高見 友也です。
『不安を安心に』変えることのできるクリニックを目指して、幅広い診療を行っています。ここでは、いくつかの専門医をもつ立場から、病気のことや治療のことをわかりやすく説明しています。
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目次
【なぜ静脈瘤があると潰瘍が治りにくいのか?】

静脈瘤があると、次のような悪循環が起こります。
詳しくはこちら「下肢静脈瘤はなぜ起こる?病態から理解する足の血管の仕組み」もご参照ください。
- 静脈の中の弁が壊れることで、血液が下向きに逆流してしまいます。
- 逆流した血液が足に溜まり、血管から水分が染み出してむくみが起こります。
- むくみにより皮膚の血行が悪くなり、酸素や栄養が十分に届かなくなります。
- その結果、皮膚が弱くなり、小さな傷が潰瘍に発展しやすくなります。
- いったん潰瘍ができると、血行不良のため治りにくい状態が続きます。
【潰瘍の原因が静脈瘤かもしれないと疑うポイント】

以下のような特徴がある場合、静脈瘤が原因の可能性が高くなります。
詳しくは、こちら「知っておきたい下肢静脈瘤のサイン|専門医が教える早期発見のポイント」もご覧ください。
・足首の内側に潰瘍ができている
・夕方になると足がむくむ
・足が重だるい感じがする
・足に茶褐色の色素沈着がある
・表面に浮き出た静脈が目立つ
・立ち仕事や座り仕事が多い
【静脈瘤の治療で潰瘍も改善する可能性があります】

もし静脈瘤が原因だった場合、静脈瘤の治療を行うことで、潰瘍の治りが劇的に改善することがあります。現在では、静脈瘤の治療も大きく進歩し、痛みの少ない日帰り手術も可能になっています。
詳しくは、こちら「下肢静脈瘤の治療選び!手術と保存療法のメリット・デメリットを専門医が解説」もご覧ください。
・レーザー治療:細い光ファイバーを使って静脈を内側から治療します。
・ラジオ波治療:高周波を使用する方法で、レーザーと同様の効果が期待できます。
・硬化療法:特殊な薬剤を注入して静脈を固める治療法です。
・弾性ストッキングや弾性包帯:ストッキングや包帯で、下肢を圧迫する治療法です。
治療は潰瘍の状態にもよりますが、疼痛などで弾性ストッキングや弾性包帯による圧迫が難しい場合もありますので、手術を先行して行う場合もあります。
【治療のステップと期待できる効果】

- まずは専門医による詳しい検査を行います。 超音波検査で静脈の状態を確認し、静脈瘤と潰瘍の関係を調べます。
- 静脈瘤が見つかった場合は、適切な治療法を選択します。 静脈瘤や潰瘍の状態に合わせて、最適な治療方法を提案させていただきます。
- 静脈瘤の治療と並行して、潰瘍の局所治療も行います。 圧迫療法や適切な被覆材の使用により、治りを促進します。
- 生活習慣の改善もサポートします。 運動方法や生活上の注意点についてアドバイスいたします。
【専門医からのメッセージ】
なかなか治らない下腿潰瘍でお悩みの方は、一度、静脈瘤の専門医による診察を受けることをお勧めします。
これまでの治療で思うような効果が得られなかった方でも、原因として静脈瘤が見つかれば、新たな治療の可能性が開けます。
決して諦めないでください。適切な診断と治療により、多くの患者さんが症状の改善を実感しています。専門医による相談・診察を是非ご検討ください。