- 2025年6月5日
- 2025年6月23日
下肢静脈瘤のよくある質問と誤解を専門医が解説|正しい知識で不安解消

足の血管がボコボコと浮き出て見える下肢静脈瘤。 多くの方が抱える悩みですが、インターネット上には 正しくない情報も多く見受けられます。
専門医として、患者さんからよく寄せられる質問や よくある誤解について、正しい知識をお伝えします。 正確な情報を知ることで、不安を解消し、 適切な対応ができるようになります。

この記事を書いた、院長の高見 友也です。
『不安を安心に』変えることのできるクリニックを目指して、幅広い診療を行っています。ここでは、いくつかの専門医をもつ立場から、病気のことや治療のことをわかりやすく説明しています。
プロフィールはこちらから
🎥 この記事の内容を動画でご覧いただけます
お忙しい方や、まずはざっくり知りたい方のために、この記事のポイントを動画にまとめました。ぜひご覧ください。
ラジオ風の音声形式なので、家事や移動中など「ながら聞き」にもぴったりです。
目次
【下肢静脈瘤の基本的な疑問と誤解について】

☆よくある質問:「下肢静脈瘤は遺伝するの?」
下肢静脈瘤には確かに遺伝的な要素があります。 ご両親のどちらかが下肢静脈瘤を患っている場合、 発症する可能性は高くなります。
しかし、遺伝だけがすべての原因ではありません。 立ち仕事や妊娠、加齢などの生活習慣や 環境要因も大きく影響します。
遺伝的な要素があっても、適切な予防や 早期発見により症状の進行を 遅らせることは十分可能です。
☆よくある誤解:「下肢静脈瘤は美容上の問題だけ」
これは大きな誤解です。 確かに見た目の問題も重要ですが、 下肢静脈瘤は医学的な疾患です。
進行すると足のむくみ、だるさ、痛み、 こむら返りなどの症状が現れます。 さらに悪化すると皮膚炎や潰瘍を 引き起こすこともあります。
「見た目だけの問題」と軽視せず、 症状があれば専門医に相談することが大切です。 早期治療により、重篤な合併症を 予防することができます。
☆よくある質問:「男性にも起こるの?」
下肢静脈瘤は女性に多い疾患ですが、 男性にも十分起こりうる病気です。 男性の場合、職業的要因が大きく関わります。
立ち仕事や重労働に従事する男性、 営業職で長時間運転する方などに よく見られます。
男性は症状を我慢しがちですが、 「男性だから大丈夫」ということはありません。 気になる症状があれば、性別に関係なく 専門医を受診することをお勧めします。
【治療に関する疑問と誤解について】



☆よくある誤解:「治療は痛くて大変」
現在の下肢静脈瘤治療は、 以前と比べて格段に進歩しています。 レーザー治療や高周波治療、グルー治療など、 体への負担が少ない方法が主流です。
これらの治療は局所麻酔で行われ、 入院の必要もありません。 また当院では鎮静薬も併用しますので、胃カメラ検査などと同じように眠ったままで治療をすることができ安心です。
「痛そうで怖い」というイメージもあるかもしれませんが、実際には想像よりもずっと楽な治療です。
☆よくある質問:「治療後すぐに仕事復帰できる?」
レーザー治療や高周波治療、グルー治療など最近行われている治療では、多くの場合 翌日から通常の生活に戻れます。 また手術当日から日常生活レベルであれば、いつも通り行っていただいて大丈夫です。
ただし、激しい運動(スポーツなど)は、 1週間程度は避けていただいた方が無難です。詳しくは、治療前に医師と相談することが重要です。
弾性ストッキングの着用など、 簡単なケアは必要ですが、 日常生活への支障は最小限に抑えられます。
☆よくある誤解:「一度治療すれば再発しない」
残念ながら、これは誤解です。 治療した血管自体は治りますが、 他の静脈に新たに静脈瘤が できる可能性はあります。
再発を完全に防ぐことは困難ですが、 適切な生活習慣により 再発のリスクを下げることは可能です。なお再発率は、10年で10%程度と言われています。
定期的な検診を受け、早期発見・早期治療を 心がけることで、症状が軽いうちに 対処することができます。
【予防と生活習慣に関する疑問と誤解について】

☆よくある質問:「予防法はあるの?」
完全な予防は困難ですが、 進行を遅らせる方法はあります。 最も効果的なのは、ふくらはぎの筋肉を 鍛えることです。
ウォーキングや足首の運動、 つま先立ちなどの簡単な運動が効果的です。 これらの運動により、足の血液循環が改善され、 静脈への負担が軽減されます。
また、長時間同じ姿勢を避け、 適度に足を動かすことも大切です。 弾性ストッキングの着用も 予防効果があります。
☆よくある誤解:「マッサージで治る」
マッサージは血行促進に効果がありますが、 下肢静脈瘤自体を治すことはできません。 症状の軽減には役立ちますが、 根本的な治療にはなりません。
セルフマッサージを行う場合は、 優しく、心臓に向かって行うことが重要です。
症状が気になる場合は、 マッサージだけに頼らず、 専門医の診察を受けることをお勧めします。
☆よくある質問:「食事で改善できる?」
特定の食べ物で下肢静脈瘤が治ることはありませんが、塩分の摂りすぎはむくみの原因となるため、 控えめにすることが大切です。 適度な水分摂取も血液循環の改善に役立ちます。
【まとめ】
下肢静脈瘤について、正しい知識を持つことは 適切な治療選択につながります。 インターネット上の情報に惑わされず、 疑問や不安があれば専門医に相談してください。
現在の治療技術は非常に進歩しており、 多くの方が快適な生活を取り戻しています。
一人で悩まず、専門医と一緒に 最適な治療方針を見つけましょう。
早期発見・早期治療により、 症状の進行を防ぎ、快適な日常生活を 維持することができます。 気になる症状があれば、 お気軽に専門医にご相談ください。