- 2025年1月20日
- 2025年3月5日
膝の痛みは本当に変形性膝関節症?鵞足炎の可能性と治療法

膝の内側に違和感や痛みを感じることはありませんか?それは「鵞足炎」かもしれません。
実は、変形性膝関節症と診断されている方の中にも、鵞足炎が隠れているケースがあります。
鵞足炎であれば、注射をすることで速やかな改善が見込めますので、今回は、鵞足炎について詳しく解説していきます。
✓変形性膝関節症と言われて治療しているけど、痛みは取れない
✓レントゲンで変形性膝関節症は問題ないと言われたけど、膝が痛い
このような疑問や不安を解決できます。

この記事を書いた、院長の高見 友也です。
『不安を安心に』変えることのできるクリニックを目指して、幅広い診療を行っています。ここでは、いくつかの専門医をもつ立場から、病気のことや治療のことをわかりやすく説明しています。
プロフィールはこちらから
目次
【鵞足炎とは?症状と原因を詳しく解説】

鵞足炎(がそうえん)は、膝の内側にある「鵞足」と呼ばれる部分に起こる炎症性の病気です。
「鵞足」という名前は、この部分に付着する3つの筋肉(縫工筋、薄筋、半腱様筋)の形がガチョウの足に似ていることから付けられました。
主な症状は、膝の内側の痛みです。特に階段の上り下りや正座をする際に痛みを強く感じます。朝起きた時の膝の硬さや違和感も特徴的な症状です。
重要なポイントとして、これらの症状は変形性膝関節症とよく似ています。実際に、変形性膝関節症と診断されている患者さんの中には、実は鵞足炎が原因で痛みを感じているケースが少なくありません。鵞足炎は適切な治療で改善が期待できる病気なので、正確な診断が非常に重要です。
原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 変形性膝関節症に伴う負担の増加
- 加齢による組織の弾力性低下
- O脚などの膝のアライメント異常
- 正座や長時間の座り続け
- 過度な運動や急な運動強度の増加
【正しい診断と効果的な治療法】

鵞足炎の診断は、症状と触診による痛みの確認が基本となります。
特に変形性膝関節症との鑑別が重要です。また中には変形性膝関節症と併発している場合もありますので、レントゲン検査で膝の状態を確認します。
その後、触診による痛みの部位から疑われる場合は、エコー検査をすることで診断することができます。
≪鵞足炎と変形性膝関節症の違いを見分けるポイント≫
- 痛みの場所が膝の内側の特定の点に限局している
- 触診で明確な圧痛点がある
- 膝を曲げ伸ばしする際の痛みのパターンが異なる
【治療法】

- 注射:膝の痛みがある部分にエコーで確認しながら注射を行います。
いわゆる膝の中にヒアルロン酸などを打つ注射とは異なり、痛めている筋肉に注射を行います。
⇒効果のある方は、注射をした直後からスムーズに立ち上がりや歩行が可能となります。 - 鎮痛剤の内服
- 大腿四頭筋訓練などのストレッチ
【自宅でできる予防とケア方法】

鵞足炎の予防と回復には、日常生活での工夫が重要です。以下のポイントを意識してみましょう。
- 適切なストレッチ 太もも前面と内側のストレッチを1日2回、各20秒程度行います。急激な伸ばしは避け、やさしく伸ばすことを心がけましょう。(大腿四頭筋訓練)
⇒診察時に実演しながら、ストレッチの方法についてお伝えいたします。 - 生活習慣の見直し ・正座を避け、椅子を使用する ・長時間の同じ姿勢を避ける ・適度な運動を心がける ・体重管理に気を付ける
- 靴選びとインソール 必要に応じて、足の形に合った靴やインソールを使用することで、膝への負担を軽減できます。
まとめ
特に、変形性膝関節症と診断されているにもかかわらず、治療の効果が思わしくない場合は、鵞足炎の可能性があります。適切な診断と治療により、痛みが改善する可能性がありますので、お気軽にご相談ください。
鵞足炎は適切な治療と予防で改善が期待できる病気です。しかし、放置すると慢性化する可能性もあるため、早めの対処が重要です。この記事を参考に、ご自身の症状と向き合っていただければ幸いです。