- 2025年8月15日
胃もたれ・胸やけ・みぞおちの痛み…それ、胃カメラが必要かも

「最近、胃の調子が悪い」「食後にもたれる感じが続いている」「胸やけがひどくて夜も眠れない」
このような症状に心当たりはありませんか?現代社会では、ストレスや不規則な生活により、胃の不調を訴える方が増えています。
胃の症状は軽く見られがちですが、中には重要な病気のサインである場合もあります。今回は、消化器内科の専門医として、どのような症状があったら胃カメラ検査を受けるべきなのか、詳しく解説していきます。

この記事を書いた、院長の高見 友也です。
『不安を安心に』変えることのできるクリニックを目指して、幅広い診療を行っています。ここでは、いくつかの専門医をもつ立場から、病気のことや治療のことをわかりやすく説明しています。
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目次
【胃カメラ検査が必要な症状とは?見逃してはいけない危険サイン】

胃カメラ検査(正式名称:上部消化管内視鏡検査)は、胃や食道、十二指腸の状態を直接確認できる検査です。
以下のような症状が続く場合は、胃カメラ検査を検討することをおすすめします。
- 持続する胃もたれ 食後2~3時間経っても胃が重い感じが続く場合は要注意です。通常、食べ物は1~2時間で胃から十二指腸に送られるため、長時間のもたれ感は胃の機能低下を示している可能性があります。
- 頻繁な胸やけ 週に2回以上胸やけが起こる場合は、胃酸が食道に逆流する「胃食道逆流症」の可能性があります。放置すると食道の粘膜が傷つき、より深刻な病気につながることもあります。
- みぞおちの痛み みぞおちとは、胸骨の下端にある窪んだ部分のことです。ここに鈍い痛みや鋭い痛みが繰り返し現れる場合は、胃潰瘍や胃炎の可能性があります。
- 食欲不振と体重減少 理由もなく食欲が落ち、体重が1か月で3kg以上減少した場合は、胃がんなどの重篤な疾患の可能性も考えられます。
- 嘔吐や吐血 コーヒーのような黒い嘔吐物や、明らかな血液が混じった嘔吐は、胃出血の危険信号です。このような症状があれば、すぐに医療機関を受診してください。
【胃カメラ検査で分かる主な病気と早期発見の重要性】

胃カメラ検査では、様々な病気を発見することができます。早期発見により、適切な治療を行うことで、多くの病気は完治が可能です。
- 胃炎 胃の粘膜に炎症が起こる病気です。ピロリ菌感染、ストレス、薬剤の副作用などが原因となります。慢性胃炎は胃がんのリスクを高めるため、定期的な観察が必要です。
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍 胃や十二指腸の粘膜に深い傷ができる病気です。ピロリ菌感染や痛み止めの長期使用が主な原因となります。適切な治療により、ほとんどの場合で完治が可能です。
- 胃食道逆流症 胃酸が食道に逆流することで起こる病気です。食道の粘膜が炎症を起こし、胸やけや呑酸(どんさん:酸っぱい液体が口まで上がってくる症状)が現れます。
- 胃がん 日本人に多いがんの一つです。早期胃がんは自覚症状がほとんどないため、胃カメラ検査による早期発見が重要です。早期発見できれば、90%以上の方が治癒可能です。
- 機能性ディスペプシア 検査をしても明らかな異常が見つからないにも関わらず、胃の不快な症状が続く病気です。ストレスや自律神経の乱れが関係していると考えられています。
胃カメラ検査により、これらの病気を正確に診断し、適切な治療方針を決定することができます。症状があるのに「様子を見る」だけでは、病気の進行を許してしまう可能性があります。
【胃カメラ検査の受診タイミングと準備について】

胃カメラ検査を受ける適切なタイミングと、検査前の準備について説明します。
- 受診のタイミング 40歳以上の方は、症状がなくても年に1回の胃カメラ検査をおすすめします。これは、胃がんの発症リスクが40歳頃から徐々に高くなるためです。症状がある場合は、年齢に関係なく早めの受診が大切です。特に以下の症状がある場合は、1週間以内の受診を検討してください。継続する腹痛、食事がとれない状態、黒い便が出る、急激な体重減少などです。
- 検査前の準備 胃カメラ検査の前日は、夜9時以降の食事を控えてください。水分は制限ありませんが、検査内容や施設によって変わりますので、事前にご確認ください。普段服用している薬については、事前に医師に相談することが重要です。特に血液をサラサラにする薬や糖尿病の薬は、検査に影響する場合があります。
- 検査当日の流れ 検査前に咽頭麻酔(のどの麻酔)を行い、必要に応じて鎮静剤を使用します。鎮静剤を使用した場合、検査後は眠気が残るため、車の運転は控えてください。
検査時間は通常15~30分程度です。検査中に組織検査(生検)を行う場合もありますが、痛みはほとんどありません。 - 検査後の注意点 検査後1時間は、咽頭麻酔の影響で誤嚥(ごえん:食べ物や飲み物が気管に入ること)の危険があるため、飲食は控えてください。組織検査を行った場合は、当日のアルコール摂取や激しい運動は避けてください。
詳しくは以下の記事もご参照ください。
胃カメラが不安な方必見!痛みや不安を和らげる方法と検査の流れを専門医が解説
胃カメラ検査とは?痛みや費用、検査の流れを詳しく解説
まとめ
胃の不調は日常生活に大きな影響を与える症状です。「いつものことだから」と軽視せず、症状が続く場合は積極的に胃カメラ検査を受けることをおすすめします。
現在の胃カメラ検査は、以前と比べて細いカメラを使用し、鎮静剤の使用により、患者さんの負担を大幅に軽減できるようになりました。
早期発見・早期治療により、多くの胃の病気は完治が可能です。気になる症状がある方は、ぜひ消化器内科専門医にご相談ください。
あなたの健康な胃を守るために、定期的な検査と適切な治療を心がけましょう。症状に不安を感じたときは、一人で悩まず、医療機関を受診することが最も大切です。