- 2024年11月2日
- 2024年11月3日
下肢静脈瘤や足のむくみの治療に欠かせない!正しい弾性ストッキングの選び方と着用方法
弾性ストッキングの選び方や着用方法について、わかりやすく解説します。
✓弾性ストッキングって、よく聞くけど効果ってあるの?
✓弾性ストッキングって、硬くて履きにくい
✓ドラッグストアで売っている弾性ストッキングを履いたことがあるけど、
「効果をあまり感じなかった」
「履いていたけど、かゆくて履けなかった」
このような疑問や不安を解決できます。
この記事を書いた、院長の高見 友也です。
『不安を安心に』を変えることのできるクリニックを目指して、幅広い診療を行っています。ここでは、いくつかの専門医をもつ立場から、病気のことや治療のことをわかりやすく説明しています。
プロフィールはこちらから
下肢静脈瘤の治療については、
「下肢静脈瘤の治療選び!手術と保存療法のメリット・デメリットを専門医が解説」もご覧ください。
【下肢静脈瘤の正体】
下肢静脈瘤は、足の静脈が太くなったり、曲がりくねったりする病気です。
主に40代以上の方に多く見られ、次のような症状が特徴です。
- 足がむくみ、重だるさを感じる
- 足がつる
- 夕方になると足がだるくなる
- 目立つ太い静脈
この病気の主な原因は、足の静脈の弁(血液の逆流を防ぐ仕組み)が弱くなることです。遺伝、加齢、長時間立ち仕事、肥満などが影響します。
詳しくは
「知っておきたい下肢静脈瘤のサイン|専門医が教える早期発見のポイント」もご参照ください。
【弾性ストッキングが下肢静脈瘤治療に不可欠な理由】
弾性ストッキングは、下肢静脈瘤治療において最も重要な非侵襲的(からだを傷つけない)治療方法です。着用することで、以下のような効果が期待できます。
- 血液循環の改善
下肢静脈瘤では、血液の流れが逆流しています。そのため、足に適度な圧力をかけることで、
血液の流れを正常化し、むくみやだるさなどの症状を軽減します。 - 症状の進行予防
静脈への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐことができます。 - 日常生活の質の向上 足のだるさや痛みを軽減し、快適な生活をサポートします。
【弾性ストッキング選びのプロフェッショナルガイド】
正しい弾性ストッキングの選び方と着用のコツを詳しく説明します。
サイズ選びのポイント
正確なサイズ選びは効果の分かれ目です。以下の手順で測定しましょう。
- 足首の一番細い部分
この数値を基準として、サイズを決めます。しかし、実際に試着してみて履きやすいサイズにすることが大切です。当院ではすべてのサイズを用意しておりますので、実際に試着してサイズを決めていただきます。また症例やご年齢などによっては、あえてサイズを大きなものにして、着用を続けられるサポートをしています。
弾性ストッキングは非常に効果が期待できる治療法ですが、毎日履き続けることが大切ですので、
毎日履くためにはどうすればいいかを基準に考えることが重要です。
長さの選択
一般的に、膝上タイプ、パンストタイプ、膝下タイプの3種類があります。
一部症例にもよりますが、一般的な静脈瘤や足のむくみの方は、ハイソックスタイプ(膝下タイプ)で問題ありません。当院も院内では、ハイソックスタイプ(膝下タイプ)のみ取り扱っております。
つま先のあり、なしの選択
こちらはどちらでもいいので、好みで選んでいただいて大丈夫です。
なお、つま先なしタイプの上からは普通の靴下を着用していただいて構いませんので、例えば5本指ソックスを使用されている方は、つま先なしタイプの上から5本指ソックス着用をご案内しています。
また、つま先なしタイプには、補助具がついておりますので、そちらを使用して着用する場合は、つま先なしタイプをおすすめしています。
圧迫圧の選択
弾性ストッキングの圧迫圧は症状によって異なります:
- 弱圧:15-20mmHg
- 中圧:20-30mmHg
逆流がある方は、中圧が望ましいですが、一番大切なことは着用を継続できるかどうかです。
そのため、実際に着用していただき、履き続けることができる圧にしていただくことが大切です。
またストッキングの素材によっては、履きやすさが異なりますので、やはり試着することが大切です。
素材の選択(痒みを感じやすい方)
痒みが生じる原因の一つに素材の違いがあります。市販の弾性ストッキングの多くは、化学繊維のため、汗が蒸発しにくくて痒みを生じる場合があります。また商品によっては、履き口の部分が締まって痒みを感じる場合があります。
そのため、当院では、一般的なストッキングタイプに加えて、コットンを配合したハイソックスコットン、タオル地で作られているたぴぽの3種類を用意しております。実際は着用してみて、好みの素材を選ぶことをおすすめしておりますが、以下それぞれの特徴をまとめます。
【ストッキングタイプ(ハイソックス薄手)】
最もベーシックな種類です。弱圧と中圧の2種類があり、つま先ありとなし2種類あります。色もベージュと黒の2種類あります。
素材が合成繊維のため、市販のストッキングで痒みを感じる方はかゆみがでる可能性があります。ただし、市販のストッキングで痒みがでた場合の訴えで多いのが、履き口の痒みのため、こちらはあまり履き口が締まっていないため大丈夫な方が多いです。
【ハイソックスタイプ(コットン)】
コットンを32%配合したものとなっていますので、合成繊維で痒みが出た方は、こちらもおすすめしています。また見た目の普通の靴下ですので、男性女性問わず、仕事中でも履きやすい見た目となっています。
履き心地はとても好評をいただいておりますが、唯一つま先ありタイプしかありませんので、上から5本指ソックスなど重ねることができません。
【たぴぽ】
こちらはタオル地で作られていますので、蒸れにくい製品となっています。いろいろ試したけど、痒みがあって履けなかったという方におすすめです。
履き心地も非常によく、私も愛用しています。是非一度履いてみてください。当院でも実際に着用されて、気に入られる方が多いです。こちらは、つま先あり、なしどちらもあります。
ただ見た目が少し分厚いため、仕事中に足が見える状態(スカート着用など)の方は、好みが分かれるところです。また実際着用してみると、夏場でも暑すぎて困るということはありませんが、少し生地が暑いため、夏場は悩まれる方が多いです。
正しい着用方法(硬くて履きにくい方)
以下のように着用のコツはありますが、正直履くのが大変であることは一定避けることができません。
そのため、当院ではあえてサイズを大きめにしたり、弱圧を選択することで、履き続けることができるようにサポートしています。
また当院で取り扱っている、つま先なしタイプには、すべて補助具が付いていますので、そちらもご利用ください。
詳しくは、こちらのサイト(弾性ストッキング着用方法)もご参照ください。
着用する時間
日中のみ着用してください。夜も着用しても問題ありませんが、日中に立っている時に静脈の逆流やむくみが起きますので、日中しっかり履いていただくことで、症状の軽減が期待できます。
また稀に、夜間に着用することで、むくみに出てきた水分が血管内に戻ることで、トイレが近くなることがありますので、夜に弾性ストッキングを着用されて、トイレが近い方は日中に変えてみてください。
弾性ストッキングは、下肢静脈瘤や足のむくみ治療になくてはならない味方です。
正しい知識と適切な使用で、足の健康を守りましょう。
当院では、実際に着用していただき、サイズ感、履き心地を体験していただきます。また院長を含めて、日常で弾性ストッキングを着用しているスタッフもいますので、お気軽にお声がけください。