- 2025年8月12日
- 2025年8月14日
健康診断で要精密検査…胃カメラを受ける前に読むブログ

健康診断で胃の検査で引っかかってしまった場合、多くの方が「胃カメラを受けなければいけない」と不安に感じるものです。
「胃カメラって痛いのかな?」「どんな準備が必要?」「もしかして重い病気?」
このような疑問や不安を抱える方のために、消化器の専門医として、胃カメラ検査について詳しく解説いたします。

この記事を書いた、院長の高見 友也です。
『不安を安心に』変えることのできるクリニックを目指して、幅広い診療を行っています。ここでは、いくつかの専門医をもつ立場から、病気のことや治療のことをわかりやすく説明しています。
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目次
【健康診断の「要精密検査」って実際どの程度心配すべき?】

健康診断で「要精密検査」と判定されると、多くの方が深刻に受け止めがちです。しかし、実際のところはどうなのでしょうか?
要精密検査の判定基準
胃の検査では、バリウム検査やピロリ菌検査、血液検査などの結果で異常値が出た場合に「要精密検査」となります。これは「病気が確定した」という意味ではなく、「より詳しい検査が必要」という意味です。
精密検査の結果統計
実際の統計では、要精密検査となった方のうち、重篤な病気が見つかるのは約10〜15%程度です。多くの場合は軽度の胃炎や機能性の問題で、適切な治療や生活習慣の改善で改善できるものがほとんどです。
早期発見の重要性
たとえ軽微な異常であっても、早期に発見することで適切な対処ができます。胃がんのような重篤な病気も、早期発見により90%以上の方が完治可能です。
検査を受けない場合のリスク
「異常なし」の可能性が高いからといって検査を受けないのは危険です。見逃された病気が進行してしまうリスクがあります。
健康診断での「要精密検査」は、あくまで「念のため詳しく調べましょう」という意味です。過度に心配せず、前向きに検査を受けることが大切です。
検査結果を放置せず、指定された期限内に医療機関を受診することをおすすめします。早めの受診により、不安な期間を短縮できます。
【胃カメラ検査の実際:痛みや不快感を軽減する最新の方法】

胃カメラ検査に対する不安の多くは、「痛み」や「つらさ」への恐怖から生まれます。しかし、現在の胃カメラ検査は大きく進歩しており、患者さんの負担を最小限に抑えることができます。
現在の胃カメラの特徴
最新の胃カメラは直径わずか5〜6mm程度と非常に細く、従来のものと比べて格段に挿入時の不快感が軽減されています。また、カメラの先端が柔らかい素材でできており、のどや胃壁を傷つけにくい設計になっています。
鎮静剤の使用
多くの医療機関では、希望に応じて鎮静剤(眠くなる薬)を使用します。鎮静剤を使用することで、検査中はウトウトした状態になり、不快感をほとんど感じることなく検査を受けられます。
詳しくは、こちら『「眠っている間に終わる」胃カメラって本当に楽なの?鎮静剤の効果を専門医が解説』もご参照ください。
経鼻内視鏡という選択肢
鼻から挿入する経鼻内視鏡も選択できます。鼻からの挿入は嘔吐反射が起こりにくく、検査中も会話が可能です。ただし、鼻腔の構造によっては適用できない場合もあります。
検査時間の短縮
検査時間は通常15〜20分程度で、異常がない場合はさらに短時間で終了します。組織検査が必要な場合でも、30分程度で完了します。
検査後の回復
鎮静剤を使用した場合、検査後30分〜1時間程度で意識がはっきりします。当日は車の運転を控えていただく必要がありますが、翌日からは通常の生活に戻れます。
患者さんの実際の声
「思っていたより全然つらくなかった」「鎮静剤を使ったらあっという間に終わった」「もっと早く受けておけばよかった」このような感想を持つ方が多いです。
【胃カメラ検査の準備から結果説明まで:当日の流れを詳しく解説】

胃カメラ検査を受ける際の具体的な流れを、準備段階から結果説明まで詳しく説明します。
検査予約時の確認事項
検査の予約時に、現在服用している薬について必ず申告してください。特に血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)や糖尿病の薬は、検査に影響する場合があります。
また、アレルギーの既往歴や過去の検査での問題についても伝えてください。
検査前日の準備
前日の夜9時以降は食事を控えてください。水分制限は特にありません。アルコールは前日から控えることをおすすめします。
なお検査の種類によって多少時間が変わることがありますので、詳しくはお問い合わせください。
なお普段服用している薬については、事前に医師の指示に従ってください。一部の薬は検査前に中止する必要があります。
検査当日の流れ
受付後、まず問診票の記入を行います。体調や症状、薬の服用状況などを詳しく記入してください。その後、検査着に着替えていただき、咽頭麻酔(のどの麻酔)を行います。麻酔薬を10分程度口に含んでいただきます。希望により鎮静剤を使用する場合は、点滴から薬剤を投与します。鎮静剤の効果が現れるまで数分待機していただきます。
検査中の様子
検査中は左側を下にして横になっていただきます。医師がカメラを挿入し、食道、胃、十二指腸を順番に観察します。
必要に応じて、組織検査(生検)や病変の写真撮影を行います。生検は痛みを感じることはありません。
検査終了後
検査終了後は回復室で30分〜1時間程度休息していただきます。鎮静剤を使用した場合は、意識がはっきりするまで観察します。
咽頭麻酔の影響で1時間程度は飲食を控えてください。生検を行った場合は、数日間のアルコール摂取や激しい運動を避けてください。
結果説明
検査結果は、当日または後日に医師から詳しく説明いたします。画像を見ながら、発見された異常の程度や今後の治療方針について分かりやすく説明します。
生検を行った場合は、病理検査の結果が出るまで1週間程度かかります。結果により、追加の治療や定期的な経過観察が必要になる場合があります。
まとめ
健康診断で「要精密検査」と判定されても、過度に心配する必要はありません。多くの場合、軽微な異常や治療可能な病気の発見につながります。
現在の胃カメラ検査は、技術の進歩により患者さんの負担を大幅に軽減できるようになりました。鎮静剤の使用や細径カメラの導入により、「つらい検査」から「楽に受けられる検査」へと変化しています。
何より大切なのは、早期発見による適切な治療です。胃がんのような重篤な病気も、早期発見により高い確率で完治が可能です。
検査に対する不安や疑問がある場合は、遠慮なく医療スタッフにお尋ねください。私たち医療従事者は、患者さんが安心して検査を受けられるよう、全力でサポートいたします。
あなたの健康を守るために、勇気を持って検査を受けていただければと思います。きっと「受けてよかった」と感じていただけるはずです。