• 2025年6月4日

足の血管が浮き出る下肢静脈瘤とは?種類・症状・治療法を専門医が徹底解説

足の血管がボコボコと浮き出たり、青い血管が透けて見えたり、 そんな症状に心当たりはありませんか? それは「下肢静脈瘤」という病気のサインかもしれません。

下肢静脈瘤は、足の静脈の血液の流れが悪くなることで起こる病気で、 成人の約15%が悩まされているとても身近な疾患です。 放置すると症状が悪化し、日常生活に支障をきたすこともあります。

今回は、下肢静脈瘤の治療専門医として、 病気の種類から最新の治療法まで、 足の健康を守るために必要な知識をわかりやすく解説いたします。

この記事を書いた、院長の高見 友也です。

『不安を安心に』変えることのできるクリニックを目指して、幅広い診療を行っています。ここでは、いくつかの専門医をもつ立場から、病気のことや治療のことをわかりやすく説明しています。

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目次

  1. 【下肢静脈瘤の4つの種類と特徴】
  2. 【下肢静脈瘤の原因と発症しやすい人】
  3. 【治療を受ける前に知っておきたい現実的な選択肢と準備事項】

【下肢静脈瘤の4つの種類と特徴】

①伏在型静脈瘤(最も重症なタイプ)

伏在型静脈瘤は、足の表面近くを走る大きな静脈である 「大伏在静脈」や「小伏在静脈」に起こる静脈瘤です。 下肢静脈瘤の中で最も重症で、治療が必要になることが多いタイプです。

主な特徴:

  • 血管が大きくボコボコと膨らんで見える
  • 足のだるさや重だるさが強い
  • 夕方になると症状が悪化する
  • 足がつりやすくなる
  • 皮膚の色が変わることがある

この型は進行性で、放置すると皮膚炎や潰瘍を 引き起こす可能性があるため、早期の治療が推奨されます。

②側枝型静脈瘤(中等度の症状)

側枝型静脈瘤は、伏在静脈から枝分かれした 比較的太い静脈に起こる静脈瘤です。 伏在型ほど重症ではありませんが、 症状が現れることが多いタイプです。

主な特徴:

  • 膝の裏やふくらはぎに血管の膨らみが見える
  • 軽度から中等度のだるさや痛み
  • 立ち仕事の後に症状が強くなる
  • むくみが起こりやすい

症状の程度によって治療方針が決まり、 軽症であれば経過観察、症状が強い場合は治療が必要です。

③網目状静脈瘤(比較的軽症)

網目状静脈瘤は、皮膚の下2〜3mmの浅い部分にある 細い静脈が拡張したものです。 網の目のような模様に見えることからこの名前が付きました。

主な特徴:

  • 直径2〜4mm程度の青い血管が網目状に見える
  • 太ももの外側や膝の周りに多い
  • 痛みやだるさは軽度
  • 美容的な悩みが主な症状

症状が軽いため緊急性は低いですが、 見た目を気にされる方には治療の選択肢があります。
一般的には硬化療法といわれる治療となりますが、当院では行っておりません。

④くも状静脈瘤(最も軽症)

くも状静脈瘤は、皮膚の表面近くにある 直径1mm以下の非常に細い毛細血管が拡張したものです。 くもの巣のような細い線状に見えるのが特徴です。

主な特徴:

  • 赤や紫色の細い線状の血管
  • 太ももや膝周辺に多く見られる
  • 痛みやだるさはほとんどない
  • 主に美容上の問題

医学的な治療の必要性は低いですが、 気になる場合は美容的な治療を受けることができます。
一般的には硬化療法といわれる治療となりますが、当院では行っておりません。

【下肢静脈瘤の原因と発症しやすい人】

≪静脈弁の機能不全が根本原因≫

下肢静脈瘤が起こる根本的な原因は、 静脈の中にある「弁」の機能不全です。 この弁は血液の逆流を防ぐ重要な役割を果たしています。

通常、足の血液は筋肉のポンプ作用により心臓に送り返されますが、 弁が壊れると血液が逆流し、静脈内に溜まってしまいます。 その結果、静脈が拡張して静脈瘤ができるのです。

≪発症しやすい人の特徴≫

遺伝的要因:

  • 家族に下肢静脈瘤の人がいる
  • 生まれつき静脈壁が弱い

生活習慣・職業:

  • 長時間の立ち仕事(美容師、販売員など)
  • デスクワークで座りっぱなし
  • 運動不足の生活

身体的要因:

  • 妊娠・出産の経験がある女性
  • 肥満体型の方
  • 加齢(40歳以降に多い)

その他の要因:

  • 高いヒールを履く機会が多い
  • 便秘がちで力みやすい
  • 締め付けの強い衣服を着用

【最新の治療法と選択基準】

①血管内治療(レーザーまたは高周波治療)

現在、下肢静脈瘤治療の主流となっているのが 血管内治療です。皮膚を切開せずに血管の内側から治療する方法で、 体への負担が少なく、高い治療効果が期待できます。

レーザー治療(EVLA):

  • レーザーファイバーを血管内に挿入
  • 熱で血管を閉塞させる
  • 治療時間:30〜60分程度
  • 日帰り手術が可能

高周波治療(RFA):

  • 高周波エネルギーで血管を閉塞
  • 均一な熱分布で安全性が高い
  • 治療時間:30〜60分程度

②血管内塞栓術(グルー治療)

  • 医療用の接着剤で血管を閉塞
  • 熱を用いない
  • 治療時間:30〜60分程度

上記治療の違いについては、「血管内焼灼術vs 血管内塞栓術(グルー治療):下肢静脈瘤の最新治療法を比較!」もご参照ください。

③保存的治療(軽症例の管理)

症状が軽い場合や手術適応でない場合は、 保存的治療で症状の改善を図ります。

主な方法:

  • 生活習慣の改善
  • 弾性ストッキングの着用
  • 足上げ(挙上)の習慣
  • 適度な運動療法

【まとめ】

下肢静脈瘤は種類によって症状や治療法が大きく異なります。 伏在型は早期治療が重要ですが、 軽症のくも状静脈瘤は経過観察で十分な場合もあります。

現在の治療法は非常に進歩しており、 特に血管内治療は体への負担が少なく、 優れた治療効果を期待できます。 多くの場合で日帰り治療が可能で、 早期の社会復帰が可能です。

大切なのは、症状を放置せずに早めに専門医に相談することです。 適切な診断により、あなたの症状に最も適した 治療法を選択することができます。

足のだるさや血管の見た目が気になる方は、 一人で悩まず、まずは下肢静脈瘤の専門医による 診察を受けてみてください。 早期発見・早期治療により、健康で美しい足を 取り戻すことができます。

足の健康は全身の健康につながります。 今日から意識して、大切な足をいたわってあげましょう。

気になった方やご心配な方、
早めに専門医へご相談ください。

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