- 2024年12月6日
- 2025年1月8日
鉄欠乏性貧血の症状と治療法|女性に多い貧血の原因と対策

女性の約20%が経験するとされる鉄欠乏性貧血。疲れやすさや息切れなど、日常生活に大きな影響を与えるこの症状について、診断から治療まで詳しく解説します。
✓鉄欠乏性貧血って、何??症状でるの?
✓どうやって診断されるの?
✓治療方法は?
このような疑問や不安を解決できます。

この記事を書いた、院長の高見 友也です。
『不安を安心に』変えることのできるクリニックを目指して、幅広い診療を行っています。ここでは、いくつかの専門医をもつ立場から、病気のことや治療のことをわかりやすく説明しています。
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目次
【鉄欠乏性貧血の症状:要注意!こんな症状が出たら貧血かも】

女性は生理の関係で、貧血になる方が多くおられます。また出血が原因となりますので、貧血の中でも鉄欠乏性貧血であることが多いです。
初期症状は、誰もが経験する疲れやすさとよく似ています。以下の症状がある場合は、貧血の可能性を疑いましょう。ただし、徐々に貧血が進行している場合には、あまり症状を強く感じない方もおられますが、治療を開始すると体が軽くなることを実感される方も多くおられます。
・疲れやすい、だるさが続く ・息切れがする、動悸がする ・めまいがする、立ちくらみがある ・爪が薄くなる、もろくなる ・顔色が悪い、唇が白っぽい ・集中力が続かない
これらの症状は、体内の鉄分が不足することで、酸素を運ぶヘモグロビンが減少するために起こります。
【鉄欠乏性貧血の診断:血液検査でわかること】

貧血の診断には、主に血液検査を行います。
・ヘモグロビン値:貧血の有無を判定する最も基本的な検査 (基準値:女性12-16 g/dL、男性13-17 g/dL)
・血清フェリチン値:体内の鉄分の貯蔵量を示す指標 (基準値:10-120 ng/mL)
・血清鉄:血液中の鉄分量を示す指標 (基準値:40-180 μg/dL)
これらの検査結果から、貧血の種類や重症度を判断しますが、主にフェリチン値が低ければ、鉄欠乏性貧血と診断します。またヘモグロビン値が正常でも、フェリチンが低い方がおられますが、「隠れ貧血」と呼ばれたりもします。(フェリチンが12-15ng/mLを切ると補充療法が検討となります)
そのような方は、普段は特に症状がなくても、生理の時など血液が失われると貧血となり、倦怠感などの症状が強くなる場合があります。
【鉄欠乏性貧血の治療:鉄分補給と生活改善】

治療は主に以下の3つのアプローチで行います。
- 鉄剤による治療 医師の処方する鉄剤を服用します。鉄剤には主に以下の種類があります。
・経口鉄剤:一般的な治療法で、錠剤やシロップ剤があります 。
錠剤には、「フェロミア」「フェログラデュメット」「リオナ」などがあります。
鉄剤は気分不良を起こす方もおられますので、症状に合わせてこれらの薬から選択します。
服用時の注意点: ・空腹時に服用する
・お茶やコーヒーと一緒に飲まない
・副作用(便秘、胃の不快感)に注意
- 食事療法 鉄分を多く含む食品を積極的に摂取します。
・赤身の肉(牛肉、豚肉)
・レバー
・ほうれん草などの緑葉野菜
・貝類(しじみ、あさり)
・大豆製品
ビタミンCと一緒に摂取すると、鉄分の吸収が良くなります。
なお、以前は「ひじき」も多くの鉄分を含む食事として有名でしたが、実は最近の「ひじき」には鉄分が減ってきていると言われています。その理由は、昔は鉄鍋で料理をしていたが、最近では鉄鍋を使用しなくなったからと言われています。
- 生活習慣の改善 ・十分な睡眠をとる ・適度な運動を行う ・ストレス管理を行う ・禁煙する(喫煙者の場合)
【予防のポイント】
・定期的な健康診断を受ける
・バランスの良い食事を心がける
・月経が多い場合は婦人科を受診する
・過度なダイエットを避ける
【注意が必要な方】
・月経のある女性
・妊娠中・授乳中の女性
・菜食主義者
・激しい運動をする方
・胃腸の手術歴がある方
貧血の改善には通常2-3ヶ月かかります。症状が改善しても、医師の指示なく治療を中断せず、しっかりと飲み続けるようにしましょう。
結論
鉄欠乏性貧血は、早期発見と適切な治療で改善できる病気です。日々の体調の変化に気を配り、気になる症状があれば、ためらわず医療機関を受診しましょう。定期的な検査と、バランスの取れた食生活を心がけることで、健康的な毎日を送ることができます。

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