• 2026年10月19日

脂肪肝は体重を減らせば改善する?肥満症治療薬「ゼップバウンド」と脂肪肝の関係を解説

健康診断で「脂肪肝があります」「肝機能の数値が少し高いですね」と言われたことはありませんか?

脂肪肝は非常によくみられる病気ですが、症状がほとんどないため、そのまま放置されている方も少なくありません。

しかし、脂肪肝は単に肝臓に脂肪がついているだけではなく、肥満や糖尿病、脂質異常症などとも深く関係しています。

最近では、体重を減らすことが脂肪肝の改善につながることがわかってきており、肥満症に対する薬物治療も注目されています。

今回は、脂肪肝と肥満の関係、脂肪肝を改善するための方法、そして当院でも自由診療で取り扱っている肥満症治療薬「ゼップバウンド」についてご紹介します。

この記事を書いた、院長の高見 友也です。

『不安を安心に』変えることのできるクリニックを目指して、幅広い診療を行っています。ここでは、いくつかの専門医をもつ立場から、病気のことや治療のことをわかりやすく説明しています。

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目次

  1. 【脂肪肝とは?お酒を飲まなくても起こる病気】
  2. 【脂肪肝の改善には「体重を減らすこと」が重要】
  3. 【肥満症治療薬「ゼップバウンド」とは?】
  4. 【ゼップバウンドは脂肪肝にも効果がある?】
  5. 【どんな人がゼップバウンド治療の対象になる?】
  6. 【ゼップバウンドは自由診療で受けられる?】
  7. 【副作用や注意点について】
  8. 【当院では脂肪肝と肥満症を総合的に診療します】

【脂肪肝とは?お酒を飲まなくても起こる病気】

脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積した状態です。

以前は、お酒をたくさん飲む方に多い病気というイメージがありました。しかし実際には、飲酒量が少ない方や、お酒をまったく飲まない方でも脂肪肝になることがあります。

その原因として特に重要なのが、肥満や内臓脂肪の増加、糖尿病などの代謝異常です。

近年では、こうした代謝異常と関係する脂肪性肝疾患を**MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)**と呼ぶようになりました。MASLDは、脂肪肝に加えて、肥満、血糖異常、高血圧、脂質異常などの心血管代謝リスク因子を1つ以上有する場合に診断されます。

また、肝臓に脂肪が蓄積するだけでなく、炎症や肝細胞の障害を伴う状態を**MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)**と呼びます。

脂肪肝の多くは急激に悪化するものではありませんが、一部では炎症や線維化が進み、肝硬変や肝がんにつながる場合があります。そのため、脂肪肝を指摘された場合には、放置せずに適切な評価を受けることが大切です。

【脂肪肝の改善には「体重を減らすこと」が重要】

肥満を伴う脂肪肝では、体重減少が有効な治療方法の一つです。体重が減少すると、肝臓に蓄積した脂肪も減少し、肝機能の改善が期待できます。

体重の減少に伴い、次のような改善が報告されています。

  • 体重の約5%の減量:肝臓の脂肪が減少
  • 体重の7〜10%の減量:肝臓の炎症が改善
  • 体重の10%以上の減量:肝線維化の改善も期待

例えば、体重80kgの方であれば、まず4kgの減量を目指すことが一つの目安になります。

必ずしも大幅に体重を減らす必要はなく、わずかな減量でも肝臓への負担を軽減できる可能性があります。

ただし実際には、「食事を減らしても体重が落ちない」「運動を続けることが難しい」という方も少なくありません。また、肥満には食欲を調節するホルモンや代謝の仕組みなど、さまざまな要因が関わっています。

そこで、一定の条件を満たす肥満症の方では、食事療法や運動療法に加えて、薬物治療を検討する場合があります。

【ゼップバウンドは脂肪肝にも効果がある?】

ここが、今回特にお伝えしたいポイントです。

ゼップバウンドの有効成分であるチルゼパチドは、体重減少だけでなく、脂肪肝炎への効果を調べる研究も行われています。

2024年に医学雑誌「The New England Journal of Medicine」に発表された第2相臨床試験(SYNERGY-NASH)では、肝線維化(ステージF2〜F3)を伴うMASH患者190人を対象に、チルゼパチドの効果が検討されました。

52週間の治療後、肝線維化を悪化させずにMASHが改善した割合は、次のとおりでした。

治療内容MASHが改善した割合
プラセボ(偽薬)10%
チルゼパチド 5mg44%
チルゼパチド 10mg56%
チルゼパチド 15mg62%

この研究では、チルゼパチドを使用した群で、プラセボ群よりも高い改善割合が確認されました。また、一部の患者さんでは肝線維化の改善も認められています。

これは、肥満症治療を通じた体重減少が肝臓の健康にもよい影響を与える可能性を示す、興味深い研究結果です。

ただし、この研究は肝生検で確認されたMASH患者さんを対象にしたものであり、一般的な脂肪肝の患者さん全員に同じ効果が得られるという意味ではありません。

【どんな人がゼップバウンド治療の対象になる?】

ゼップバウンドは、食事療法や運動療法を行っても十分な効果が得られない肥満症の方で、一定の条件を満たす場合に使用が検討されます。

【当院におけるゼップバウンドによる肥満症治療の主な対象条件】

高血圧症・脂質異常症・耐糖能障害、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群のいずれかがあり、食事・運動療法で十分な効果が得られていない方で、さらに次のいずれかに該当する場合です。

  • BMI 25以上で肥満関連健康障害が2つ以上ある
  • BMI 35以上である

※条件を満たしていても、診察の結果によっては処方できない場合があります。
※当院では、美容目的の減量ではなく、肥満に伴う健康障害の改善を目的とした治療を行っています。

持病や服用中の薬、副作用の危険性などを確認する必要があります。

主な副作用には、吐き気、嘔吐、便秘、下痢、腹痛などがあります。特に治療開始時や薬の量を増やしたときに起こりやすくなります。

まれに急性膵炎や胆のうに関する病気など、重い副作用が生じることもあります。強い腹痛や繰り返す嘔吐がある場合は、速やかな受診が必要です。

妊娠中の方など使用できない場合もあります。安全に治療するためには、医師による適応の確認と定期的な診察が欠かせません。

【ゼップバウンドは自由診療で受けられる?】

ゼップバウンドは国内で承認された医薬品であり、所定の条件を満たした場合には保険診療で使用できることもあります。ただし、保険診療での使用には患者さんの条件だけでなく、医療機関の施設要件なども定められており、クリニックでの保険診療は難しいのが現状です。(ご希望があれば、保険診療可能な医療機関へご紹介させていただきます)

そのため、ひとみるクリニックでは、ゼップバウンドによる肥満症治療を自由診療で行っています。

治療にあたっては、肥満の程度や健康状態、合併症、これまでの食事療法・運動療法の状況などを確認し、適応があるかどうか判断します。

当院のゼップバウンドの費用などは、こちらの記事

『肥満症の治療とは?痩せない原因・治療薬・肥満外来について医師が解説』をご参照ください。

※自由診療となります。
※初診料・再診料・検査費用などが別途必要となる場合があります。詳しくは受診時にご確認ください。
※使用量によって薬剤費は異なります。価格は変更となる場合があります。

【副作用や注意点について】

ゼップバウンドには体重減少効果が期待できる一方、副作用もあります。

比較的よくみられる副作用は、吐き気、便秘、下痢、嘔吐、腹部不快感などの消化器症状です。

また、まれではありますが、急性膵炎、胆のう・胆道系のトラブル、強い嘔吐や下痢に伴う脱水など、注意が必要な副作用もあります。糖尿病治療薬を併用している場合は、低血糖に注意が必要です。

本剤の成分に対して過敏症の既往がある方、妊娠中の方など、使用できない場合や慎重な判断が必要な場合があります。

さらに、食事量が減少することで筋肉量まで低下しないよう、十分なたんぱく質の摂取や適切な運動も大切です。

治療開始前には医師による診察を受け、副作用や注意点について十分に理解していただく必要があります。

【当院では脂肪肝と肥満症を総合的に診療します】

脂肪肝は、肝臓だけの問題ではありません。背景に肥満や内臓脂肪の蓄積、糖尿病、脂質異常症、高血圧などが隠れている場合があります。

そのため、ひとみるクリニックでは、単に肝機能の数値を確認するだけでなく、血糖値や脂質、体重なども含めて総合的に診療することを大切にしています。

必要に応じて血液検査や腹部超音波検査を行い、FIB-4インデックスなどを用いて肝線維化のリスクについても評価します。(ただし、ゼップバウンド治療中の場合は、検査もすべて自費診療となりますのでご了承ください)

そして、生活習慣の改善を基本としながら、肥満症の薬物治療が適切と判断される場合には、ゼップバウンドによる自由診療も選択肢の一つとしてご相談いただけます。

脂肪肝があるから必ず薬を使用するということではなく、一人ひとりの健康状態や治療目標に合わせて治療方針を考えていきます。


まとめ

脂肪肝は、症状がなくても少しずつ進行することがある病気です。一方で、早い段階から食生活や運動習慣を見直し、適正な体重を目指すことで、改善が期待できます。

近年では、肥満症に対する薬物治療の選択肢も広がってきました。ゼップバウンドはその一つですが、すべての脂肪肝の方に必要な治療ではありません。

大切なのは、脂肪肝の原因や進行リスク、肥満に伴う健康障害などを適切に評価し、自分に合った治療方法を選ぶことです。

「健康診断で脂肪肝と言われた」
「体重が増えてから肝機能の数値が悪くなった」
「食事や運動を頑張っているけれど、なかなか改善しない」

このようなお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。
ひとみるクリニックでは、脂肪肝や生活習慣病の診療に加え、肥満症に対する自由診療についてもご相談いただけます。

肥満に伴う健康上の問題が気になる方、食事や運動だけでは十分に体重を減らせなかった方は、一度ご相談ください。

現在の健康状態を確認し、薬物治療の必要性も含め、一人ひとりに合った治療方法を一緒に考えていきます。

ご予約は、こちらから。

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