• 2025年8月20日

血圧を下げる生活習慣改善法|薬だけに頼らない高血圧対策3ステップ

高血圧と診断されて、薬を飲み続けることに不安を感じていませんか?
実は、生活習慣の改善だけでも血圧を大幅に下げることができるのです。

脈管専門医として、薬に頼り切るのではなく、根本的な生活習慣の見直しこそが、健康な血圧維持の鍵だとお伝えしたいと思います。

今回は、誰でも実践できる3つのステップで、高血圧を自然に改善する方法をご紹介します。
これらの方法を継続することで、血圧改善効果が期待できます。

この記事を書いた、院長の高見 友也です。

『不安を安心に』変えることのできるクリニックを目指して、幅広い診療を行っています。ここでは、いくつかの専門医をもつ立場から、病気のことや治療のことをわかりやすく説明しています。

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目次

  1. 【高血圧が体に与える深刻な影響】
  2. 【食事改善】塩分制限と栄養バランスで血圧をコントロール
  3. 【運動療法】有酸素運動で血管を強化し血圧を下げる
  4. 【ストレス管理】リラクゼーション技法で心と血管をリセット

【高血圧が体に与える深刻な影響】

高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれています。これは、自覚症状がほとんどないまま、体の中で静かに血管を傷つけ続けているからです。

血管に常に高い圧力がかかることで、血管壁が厚くなり、柔軟性を失います。この状態が続くと、心筋梗塞や脳梗塞、腎臓病などの重篤な合併症を引き起こす可能性が高くなります。

しかし、適切な生活習慣の改善により、これらのリスクを減らすことができます。

詳しくは、「健康診断で血圧高め…治療は必要?|高血圧治療の重要性|治療が必要な理由を脈管専門医が解説」もご参照ください。

【食事改善】塩分制限と栄養バランスで血圧をコントロール

◎塩分摂取量を1日6グラム以下に抑える

日本人の平均塩分摂取量は1日約10グラムと言われていますが、高血圧改善のためには6グラム以下に抑えることが重要です。

塩分を摂りすぎると、血液中のナトリウム濃度が高くなり、体が水分を蓄えようとして血液量が増加します。その結果、血管にかかる圧力が高くなってしまうのです。

具体的な塩分制限の方法をご紹介します。まず、調味料の使い方を見直しましょう。
醤油やソースは小皿に取り分けて、つけて食べる習慣をつけてください。

麺類のスープは残すようにし、加工食品(ハムやソーセージ、漬物など)の摂取を控えることも大切です。代わりに、レモンや酢、香辛料、だしなどを活用して味付けを工夫しましょう。

◎カリウムを積極的に摂取する

カリウムには、体内の余分なナトリウムを排出する働きがあります。つまり、塩分の害を和らげる効果があるのです。

カリウムが豊富な食材には、バナナ、アボカド、ほうれん草、じゃがいも、トマトなどがあります。これらを意識的に食事に取り入れることで、血圧改善効果が期待できます。

ただし、腎臓病がある方は、カリウムの摂取制限が必要な場合があります。必ず主治医に相談してから実践してください。

◎DASH食事法を取り入れる

DASH(ダッシュ)食事法は、「高血圧を止める食事アプローチ」という意味です。

この方法では、野菜、果物、全粒穀物、低脂肪の乳製品を多く摂り、赤身肉や砂糖、飽和脂肪酸を制限します。研究では、DASH食事法により血圧が平均で8-14mmHg下がることが報告されています。

【運動療法】有酸素運動で血管を強化し血圧を下げる

◎3回以上の有酸素運動を習慣化する

有酸素運動は、血圧を下げる最も効果的な方法の一つです。運動により心臓の収縮力が効率良くなり、血管の柔軟性も改善されるからです。

おすすめの有酸素運動は、ウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、水中歩行などです。重要なのは、息が少し上がる程度の強度で、30分以上続けることです。

運動強度の目安は、運動中でも会話ができる程度です。これを「ニコニコペース」と呼んでいます。きつすぎる運動は逆に血圧を上げてしまうことがあるので注意が必要です。

最初は週3回から始めて、慣れてきたら毎日の習慣にしていきましょう。継続することで、安静時の血圧が確実に低下していきます。

◎筋力トレーニングも併用する

有酸素運動に加えて、週2回程度の軽い筋力トレーニングも効果的です。筋肉量が増えることで基礎代謝が上がり、血糖値や脂質代謝も改善されます。

ただし、重いウェイトを使った激しい筋トレは、一時的に血圧を急上昇させる可能性があります。軽めの負荷で、回数を多くする方法がお勧めです。

スクワットや腕立て伏せなど、自分の体重を使った運動から始めてみてください。正しいフォームで行うことが重要です。

◎日常生活での活動量を増やす

特別な運動をしなくても、日常生活での活動量を増やすだけで血圧改善効果があります。

エレベーターではなく階段を使う、一駅手前で降りて歩く、家事を積極的に行うなど、小さな工夫を積み重ねることが大切です。

歩数計やスマートウォッチを活用して、1日8,000歩以上を目標にしてみてください。これだけでも立派な有酸素運動になります。

【ストレス管理】リラクゼーション技法で心と血管をリセット

◎深呼吸法を身につける

慢性的なストレスは、交感神経を過度に刺激し、血管を収縮させて血圧を上昇させます。そのため、効果的なストレス管理が血圧改善には欠かせません。

最も簡単で効果的なのが深呼吸法です。鼻から4秒かけて息を吸い、4秒間息を止め、口から8秒かけてゆっくりと息を吐き出します。

この呼吸法を1日3回、各5分程度行うだけで、副交感神経が活性化され、血圧が下がります。いつでもどこでもできるので、ぜひ習慣にしてください。

◎十分な睡眠を確保する

睡眠不足は血圧上昇の大きな要因です。睡眠中は通常、血圧が10-20%下がりますが、睡眠が不足すると、この自然な血圧低下が起こりにくくなります。

理想的な睡眠時間は7-8時間です。規則正しい睡眠リズムを作るために、毎日同じ時間に寝起きすることを心がけましょう。

寝室の環境も重要です。温度は18-22度、湿度は50-60%に保ち、暗く静かな環境を作ってください。寝る前のスマートフォンやテレビは控えることも大切です。

◎リラクゼーション活動を取り入れる

趣味や好きな活動に時間を費やすことも、ストレス管理には欠かせません。読書、音楽鑑賞、園芸、絵画など、心から楽しめる活動を見つけてください。

瞑想やヨガも血圧を下げる効果があることが科学的に証明されています。最初は短時間から始めて、徐々に時間を延ばしていきましょう。

友人や家族とのコミュニケーションも大切なストレス解消法です。悩みを一人で抱え込まず、信頼できる人に相談することで、心理的負担が軽減されます。


まとめ:継続が成功の鍵

高血圧の改善は一朝一夕にはできませんが、今回ご紹介した3つのステップを継続することで、必ず効果を実感できるはずです。

食事改善では塩分制限とバランスの良い栄養摂取、運動療法では有酸素運動を中心とした活動量の増加、ストレス管理では深呼吸と十分な睡眠が基本となります。

これらの生活習慣改善により、多くの患者さんが薬の量を減らしたり、場合によっては薬を使わずに血圧をコントロールできるようになっています。

ただし、自己判断で薬を中止することは危険です。生活習慣を改善しながら、定期的に医師と相談し、適切な治療方針を決めていくことが重要です。

あなたの健康な未来のために、今日から一つずつでも実践を始めてみてください。小さな変化の積み重ねが、大きな改善につながります。


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