• 2025年8月17日

下肢静脈瘤の再発・悪化でお悩みの方へ|原因と効果的な対策を専門医が解説

下肢静脈瘤の治療を受けたにも関わらず、「症状が改善しない」「以前より悪化している」「また同じような症状が出てきた」といったお悩みを抱えている方は少なくありません。

治療を受けたのに期待していた効果が得られないと、不安や焦りを感じるのは当然のことです。しかし、適切な知識と対処法を知ることで、これらの問題は解決できることが多いのです。

今回は、下肢静脈瘤治療の専門医として、治療後に生じる様々な悩みについて、その原因と効果的な対策を詳しく解説いたします。あなたの症状に合った解決策が見つかるはずです。

この記事を書いた、院長の高見 友也です。

『不安を安心に』変えることのできるクリニックを目指して、幅広い診療を行っています。ここでは、いくつかの専門医をもつ立場から、病気のことや治療のことをわかりやすく説明しています。

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目次

  1. 【治療効果が感じられない主な原因と診断のポイント】
  2. 【再発や悪化が起こる理由と予防策】
  3. 【効果的な再治療と生活改善の方法】

【治療効果が感じられない主な原因と診断のポイント】

◎治療方法と症状の適合性について

下肢静脈瘤の治療には、レーザー治療、ストリッピング手術、硬化療法など複数の方法があります。しかし、すべての治療法がすべての患者さんに適しているわけではありません。

例えば、太い静脈の逆流が主な原因なのに、細い血管への硬化療法のみを行った場合、根本的な解決にはなりません。治療効果を感じられない場合、最初の診断や治療選択に問題があった可能性があります。

静脈エコー検査という超音波を使った検査により、血液の逆流状況を詳しく調べることで、より適切な治療法を選択できます。

◎生活習慣の影響

治療を受けても、日常生活に問題があると症状の改善が遅れることがあります。長時間の立ち仕事や座り仕事、運動不足、肥満などは静脈への負担を増加させます。

また、必要な方で弾性ストッキングの着用を怠ったり、正しく着用できていなかったりすると、治療効果が十分に発揮されません。弾性ストッキングとは、足を適度に圧迫して血液循環を改善する特殊な靴下のことです。

医師から指示された生活習慣の改善や、アフターケアを継続することが、治療効果を実感するために非常に重要です。

◎個人差による治療効果の違い

同じ治療を受けても、患者さんの年齢、血管の状態、全身の健康状態によって効果の現れ方は異なります。特に高齢の方や糖尿病をお持ちの方は、血管の回復に時間がかかることがあります。

治療直後から劇的な改善を期待される方もいますが、実際には数週間から数ヶ月かけて徐々に症状が改善していくのが一般的です。

焦らずに経過を見守ることも、治療成功のための大切な要素です。

【再発や悪化が起こる理由と予防策】

◎不完全な治療による再発

下肢静脈瘤の再発で最も多い原因は、最初の治療が不完全だったケースです。静脈の逆流を起こしている血管をすべて特定し、適切に処理しなければ、残った問題のある血管から再び症状が現れます。

特に、伏在静脈という太い血管の処理が不十分だと、時間が経ってから再発することがよくあります。伏在静脈とは、足の付け根から足首まで走っている主要な静脈のことです。

再発を防ぐためには、初回治療時に十分な検査を行い、問題のある血管をすべて特定して治療することが重要です。

◎新たな血管への負担

治療によって一部の血管を閉じると、血液は他の経路を通って心臓に戻ろうとします。この時、これまで正常だった血管に負担がかかり、新たな静脈瘤が形成される場合があります。

これは治療の失敗ではなく、血液循環の変化による自然な現象です。定期的な検査により早期発見し、必要に応じて追加治療を行うことで対処できます。

また、妊娠や体重増加、加齢などの要因も新たな静脈瘤の発生リスクを高めます。

◎遺伝的要因と体質

下肢静脈瘤には遺伝的な要因が関係しています。家族に静脈瘤の方がいる場合、治療後も新たな静脈瘤が発生しやすい傾向があります。

この場合、完全な予防は困難ですが、適切な生活習慣と定期的な検査により、早期発見・早期治療が可能です。

遺伝的体質を理解し、長期的な視点で静脈の健康を管理していくことが大切です。

【効果的な再治療と生活改善の方法】

◎最新の治療選択肢

再治療が必要な場合、現在では様々な選択肢があります。レーザー治療やラジオ波治療は、従来の手術に比べて体への負担が少なく、日帰りで治療を受けることができます。

血管内治療という、血管の中からレーザーや高周波で治療する方法は、皮膚を大きく切開する必要がなく、傷跡もほとんど残りません。

また、グルー治療という医療用接着剤を使った最新の治療法も登場しており、さらに負担の少ない治療が可能になっています。

◎セカンドオピニオンの重要性

治療効果に満足できない場合は、別の専門医の意見を聞くことをお勧めします。セカンドオピニオンとは、現在の主治医以外の医師に意見を求めることです。

医師によって治療方針や技術に違いがあるため、より適切な治療法が見つかる可能性があります。遠慮せずに、納得できる治療を受けるために積極的にセカンドオピニオンを活用してください。

特に、静脈瘤治療を専門とするクリニックでの相談をお勧めします。

◎日常生活での改善策

治療と並行して、日常生活の改善も重要です。弾性ストッキングの正しい着用、適度な運動、足の挙上、マッサージなどが効果的です。

ウォーキングや水泳などの有酸素運動は、血液循環を改善し、静脈の健康維持に役立ちます。また、長時間同じ姿勢を続けないよう、定期的に足首を動かしたり、立ち上がったりすることも大切です。

食生活では、塩分を控えめにし、食物繊維を多く含む食品を摂取することで、血液循環の改善と便秘予防につながります。

◎定期的な経過観察

治療後は定期的な検査により、血管の状態を確認することが重要です。超音波検査により、血液の流れや新たな問題の有無を早期に発見できます。

一般的には、治療後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、その後は年1回程度の検査をお勧めしています。症状に変化があった場合は、すぐに受診することも大切です。

早期発見・早期治療により、大がかりな再治療を避けることができ、良好な治療結果を維持することが可能です。


【まとめ】

下肢静脈瘤の治療後に症状の改善が感じられない、再発や悪化が起こった場合でも、適切な対処により改善することが可能です。

重要なのは、現在の症状や治療経過を正確に把握し、個々の状況に応じた最適な治療法を選択することです。一人で悩まず、専門医に相談し、必要に応じてセカンドオピニオンを求めることをお勧めします。

静脈瘤治療は一度で終わりではなく、長期的な管理が必要な疾患です。適切な治療と生活習慣の改善により、快適な日常生活を取り戻すことができます。あきらめずに、専門医と二人三脚で治療に取り組んでいきましょう。

気になった方やご心配な方、
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