• 2025年8月16日

朝から頭が重い・倦怠感が…それ、SAS(睡眠時無呼吸症候群)の可能性大!

「しっかり寝たはずなのに、朝から頭が重い」「起きた瞬間からだるくて仕方ない」そんな症状に悩まされていませんか?

十分な睡眠時間を確保しているにも関わらず、朝の不調が続く場合、それは単なる寝不足ではない可能性があります。

その原因として疑われるのが「SAS(睡眠時無呼吸症候群)」です。SASとは、睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりする病気で、日本では約300万人の患者がいると推定されています。

朝の頭の重さや倦怠感は、夜間の酸素不足によって引き起こされている可能性が高いのです。
今回は、朝の不調とSASの関係について詳しく解説していきます。

あなたの朝の不調の原因を見つけ、質の良い睡眠を取り戻すためのヒントをお伝えします。

この記事を書いた、院長の高見 友也です。

『不安を安心に』変えることのできるクリニックを目指して、幅広い診療を行っています。ここでは、いくつかの専門医をもつ立場から、病気のことや治療のことをわかりやすく説明しています。

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目次

  1. 【朝の頭痛・だるさはなぜ起こる?SASのメカニズム】
  2. 【日中の眠気は危険信号!SASが引き起こす昼間の症状】
  3. 【放置は禁物!朝の不調が続くことで起こるリスク】

【朝の頭痛・だるさはなぜ起こる?SASのメカニズム】

なぜSASの方は朝から頭が重く、だるさを感じるのでしょうか。そのメカニズムを詳しく見ていきましょう。

SASでは、睡眠中に気道が狭くなったり完全に閉塞したりします。すると、体内の酸素濃度が低下し、二酸化炭素濃度が上昇します。

酸素不足を感じた脳は、呼吸を再開させるため一時的に覚醒します。この覚醒は本人が気づかないほど短時間ですが、一晩に何十回、重症の場合は何百回も繰り返されます。

この結果、深い睡眠が得られず、脳や体の疲労回復が十分に行われません。朝起きたときに「全然休めていない」と感じるのは、実際に休息が不十分だからなのです。

また、夜間の酸素不足により、脳の血管が拡張します。これが朝の頭痛や頭の重さの直接的な原因となります。通常の頭痛薬では改善しないのが特徴です。

さらに、睡眠の質が悪いと、成長ホルモンの分泌が減少します。成長ホルモンは大人にとっても重要で、疲労回復や細胞の修復に関わっています。

血圧や心拍数も夜間に不安定になるため、循環器系にも負担がかかります。これが朝の倦怠感や体のだるさにつながるのです。

【こんな症状ありませんか?朝の不調セルフチェック】

朝の不調がSASによるものかどうか、セルフチェックしてみましょう。
以下の項目に当てはまるものがあるか確認してください。

  • 起床時の症状として、頭痛や頭の重さが挙げられます。特にこめかみから後頭部にかけての重い痛みが特徴的です。痛み止めを飲んでも効果が限定的なことが多いです。
  • 口の渇きも重要なサインです。夜間に口呼吸になることで、起床時に舌や口の中がカラカラに乾いています。のどの痛みを伴うこともあります。
  • 全身のだるさや疲労感も典型的な症状です。「昨夜早く寝たのに疲れが取れない」「朝からすでに疲れている」といった感覚があります。
  • 気分の落ち込みやイライラも現れやすい症状です。十分な休息が取れないため、精神的にも不安定になりがちです。朝からやる気が出ない、憂鬱な気分になることがあります。
  • 集中力の低下も見逃せません。朝から頭がぼーっとして、仕事や家事に集中できない状態が続きます。記憶力の低下を感じることもあります。
  • 寝汗をかくことも多く、パジャマや寝具が汗で湿っていることがあります。これは、呼吸困難による体の負担を示しています。
  • パートナーから「いびきがひどい」「息が止まっている時がある」と指摘されたことがある場合は、特に注意が必要です。

【放置は禁物!朝の不調が続くことで起こるリスク】

朝の不調を「年のせい」「仕事の疲れ」と軽く考えて放置していると、深刻な健康被害をもたらす可能性があります。

日中の眠気による事故リスクが最も心配されます。運転中や作業中に突然強い眠気に襲われ、重大な事故を引き起こす危険があります。実際、SAS患者の交通事故率は健康な人の約7倍というデータもあります。

仕事や学業への影響も深刻です。集中力低下により、ミスが増える、効率が悪くなる、創造性が失われるなどの問題が生じます。これが続くと、職業生活に大きな支障をきたします。

心血管系への影響も見過ごせません。夜間の酸素不足と血圧上昇により、心臓や血管に慢性的な負担がかかります。高血圧、不整脈、心筋梗塞のリスクが高まります。

脳血管疾患の発症リスクも上昇します。睡眠中の血圧変動や血液粘度の上昇により、脳梗塞や脳出血の危険性が増加します。

糖尿病の発症・悪化も問題となります。睡眠の質が悪いと、血糖値をコントロールするインスリンの働きが悪くなり、糖尿病のリスクが高まります。

うつ病などの精神的な病気も併発しやすくなります。慢性的な睡眠不足と疲労により、心の健康にも悪影響を及ぼします。

免疫力の低下により、風邪をひきやすくなったり、感染症にかかりやすくなったりします。体の回復力も低下するため、病気が長引く傾向があります。

早期の診断と治療により、これらのリスクは大幅に軽減できます。症状が気になる方は、迷わず医療機関を受診してください。


まとめ

朝の頭の重さや倦怠感は、単なる疲れではなく、SASのサインかもしれません。夜間の酸素不足により、脳や体が十分な休息を取れていない状態なのです。

この状態を放置すると、日常生活だけでなく、将来の健康にも深刻な影響を与える可能性があります。心疾患、脳血管疾患、糖尿病などのリスクが高まり、生活の質も大幅に低下してしまいます。

しかし、適切な診断と治療を受けることで、これらの症状は改善できます。CPAP療法(シーパップ療法)という治療法では、睡眠中に専用のマスクから気道に空気を送り込み、呼吸を安定させます。

生活習慣の改善も重要です。減量、禁煙、節酒、規則正しい生活リズムを心がけることで、症状の軽減が期待できます。

「毎朝調子が悪い」「しっかり寝ているのに疲れが取れない」と感じている方は、一人で悩まず、医療機関でご相談ください。質の良い睡眠を取り戻し、快適な朝を迎えられる日々が待っています。

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