• 2025年6月13日

検診で異常値が出た時の対処法|数値の見方と再検査のポイントを医師が解説

健康診断の結果が届いて、「要精密検査」や「要再検査」の文字を見つけると、誰でも不安になるものです。「もしかして重い病気なのかな」「すぐに病院に行かなければ」と心配になる気持ちは、とてもよく理解できます。

しかし、検診で異常値が出たからといって、必ずしも深刻な病気があるとは限りません。多くの場合、生活習慣の改善や経過観察で十分なケースも少なくないのです。

今回は、内科専門医として多くの患者さんの検診結果を見てきた経験から、検診異常への正しい向き合い方をお伝えします。不安を和らげ、適切な対応ができるよう、わかりやすく解説していきます。

この記事を書いた、院長の高見 友也です。

『不安を安心に』変えることのできるクリニックを目指して、幅広い診療を行っています。ここでは、いくつかの専門医をもつ立場から、病気のことや治療のことをわかりやすく説明しています。

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目次

  1. 【検診異常値の基本知識|まず知っておきたい数値の意味】
  2. 【再検査と精密検査の違い|適切なタイミングと受診のポイント】
  3. 【日常生活での対策方法|検診結果を改善する具体的なアプローチ】
  4. 【定期的な検査と目標値の設定】

【検診異常値の基本知識|まず知っておきたい数値の意味】

検診結果には様々な数値が並んでいますが、それぞれに基準値(正常範囲)が設定されています。この基準値は、健康な人の95%が含まれる範囲として決められているため、健康な人でも5%の方は基準値を外れることがあります。

つまり、異常値が出たからといって、必ずしも病気があるわけではないのです。これを「偽陽性(ぎようせい)」と呼び、実際には問題がないのに検査で異常と判定されることを指します。

代表的な検査項目について、異常値の意味を見てみましょう。

  • 血糖値が高い場合は糖尿病の可能性がありますが、検査前の食事や体調によって一時的に上昇することもあります。コレステロール値の異常は動脈硬化のリスクを示しますが、遺伝的要因や食事内容に左右されることが多いのです。
  • 肝機能を示すAST(GOT)やALT(GPT)という数値が高い場合、肝臓に負担がかかっている可能性がありますが、激しい運動や薬の服用でも上昇することがあります。

重要なのは、一回の検査結果だけで判断しないことです。数値の変化や他の検査結果と合わせて、総合的に評価することが大切になります。

【再検査と精密検査の違い|適切なタイミングと受診のポイント】

検診結果には「要再検査」と「要精密検査」という判定があり、それぞれ意味が異なります。正しく理解して、適切な対応を取りましょう。

「要再検査」は、同じ検査をもう一度行うことを意味します。体調や食事の影響で一時的に異常値が出た可能性があるため、改めて測定して確認する必要があります。多くの場合、3か月以内の再検査が推奨されます。

一方、「要精密検査」は、より詳しい検査を受ける必要があることを示します。血液検査で異常があれば追加の血液検査や画像検査、心電図異常があれば心臓の超音波検査など、原因を特定するための検査が必要になります。

≪受診のタイミング≫

「要精密検査」の場合は、できるだけ早めに医療機関を受診することをお勧めします。一般的には1か月以内、心電図異常や血圧の著しい上昇などがあれば、2週間以内の受診が望ましいでしょう。

「要再検査」の場合は、生活習慣を見直しながら指定された期間内に再検査を受けることが大切です。慌てて翌日に受診する必要はありませんが、放置せずに必ず再検査を受けてください。

受診する際は、検診結果の用紙を必ず持参しましょう。また、現在服用している薬や気になる症状があれば、メモに書いて持参すると診察がスムーズに進みます。

【日常生活での対策方法|検診結果を改善する具体的なアプローチ】

検診で異常値が見つかった場合、日常生活の見直しが改善への第一歩となります。
具体的で実践しやすい方法をご紹介します。

  • 食事面では、バランスの取れた食事を心がけることが基本です。血糖値やコレステロール値が高い方は、野菜を多く摂り、揚げ物や甘いものを控えめにしましょう。1日350グラムの野菜摂取を目標に、毎食に野菜料理を1品加える習慣をつけることをお勧めします。
  • 肝機能の数値が高い方は、アルコールの摂取量を見直してください。厚生労働省が推奨する適量は、日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本程度です。週に2日は休肝日を設けることも大切です。
  • 運動習慣の改善も効果的です。激しい運動は必要ありません。1日30分程度のウォーキングや、階段を使う、一駅分歩くなど、日常生活に取り入れやすい活動から始めましょう。継続することが何より重要です。
  • 睡眠不足やストレスも検査値に影響を与えます。7時間程度の睡眠を確保し、リラックスできる時間を作ることも忘れずに。深呼吸や軽いストレッチなど、簡単にできるストレス解消法を見つけてください。

これらの生活習慣の改善は、数か月続けることで効果が現れます。急激な変化を求めず、無理のない範囲で少しずつ取り組むことが成功の秘訣です。


まとめ

検診で異常値が出ても、まず落ち着いて対応することが大切です。多くの場合、生活習慣の改善や適切な医療機関での相談により、良好な結果を得ることができます。

重要なポイントは、検診結果を正しく理解し、必要に応じて医師に相談することです。一人で悩まず、専門家のアドバイスを求めることで、不安を解消し、健康な生活を送ることができるでしょう。

あなたの健康は、日々の積み重ねによって守られます。検診結果をきっかけに、より良い生活習慣を身につけ、充実した毎日を過ごしていただければと思います。


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