- 2025年3月19日
爪白癬診断の確実性を高める!デルマクイック検査をわかりやすく解説します。

爪が厚くなったり、変色したりして気になっていませんか?
それは「爪水虫」と呼ばれる爪白癬かもしれません。
爪白癬は日本人の約10%が抱える身近な皮膚疾患です。
適切な治療のためには、まず正確な診断が欠かせません。
従来のKOH直接検鏡法だけでは診断に限界があることもありましたが、「デルマクイック」という検査キットを併用することで、診断の確実性が大きく向上します。
この記事では、爪白癬の正確な診断に役立つデルマクイックについて詳しく解説します。
爪白癬については、こちら「足の爪が変色・肥厚?爪水虫の原因と効果的な治療法」もご覧ください。
✓そもそも爪白癬って何?
✓診断って、顕微鏡でできるの??
✓デルマクイックって何?
このような疑問や不安を解決できます。

この記事を書いた、院長の高見 友也です。
『不安を安心に』変えることのできるクリニックを目指して、幅広い診療を行っています。ここでは、いくつかの専門医をもつ立場から、病気のことや治療のことをわかりやすく説明しています。
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目次
【爪白癬とは?その症状と診断の難しさ】

爪白癬(つめはくせん)とは、水虫の原因となる白癬菌(はくせんきん)が爪に感染して起こる病気です。一般的には「爪水虫」とも呼ばれています。
症状としては、爪が白っぽく濁る、黄色く変色する、爪が厚くなる、もろくなる、変形するなどがあります。
放置すると徐々に爪全体に広がり、見た目の問題だけでなく、他の爪や家族にうつす可能性もあるため、早期の正確な診断と治療が大切です。

爪白癬の診断には従来から「KOH直接検鏡法」が広く用いられてきました。これは爪の検体を水酸化カリウム(KOH)という薬品で処理し、顕微鏡で白癬菌を直接観察する方法です。
保険診療においても基本となる重要な検査ですが、判定が難しいケースもあります。
特に爪水虫では、偽陰性率(実際に白癬菌がいる場合に陰性と判定する確率)が約30%以上とも言われています。
また「真菌培養検査」も確定診断に役立つ方法ですが、結果が出るまでに2〜4週間かかるため、診断確定までの期間が長くなるというデメリットがありました。
爪白癬の診断が難しい理由は他にもあります。
爪の変形や変色は、他の爪疾患でも起こるため、見た目だけでの判断は困難です。
そのため、KOH直接検鏡法による基本検査に加えて、より確実性の高い補助診断法としてデルマクイック検査が注目されているのです。
【デルマクイックとは?KOH直接検鏡法を補完する診断ツール】

デルマクイックは、爪白癬の診断精度を高める優れた補助診断ツールです。
この検査キットは、白癬菌抗原を調べることで白癬菌の存在を検出します。イメージ的には、インフルエンザやコロナウイルスの迅速検査のようなイメージです。
そのため、KOH直接検鏡法で判断が難しい場合でも、デルマクイックで診断がつくことがあります。
日本の保険診療では、デルマクイック検査は原則KOH直接検鏡法を実施した上で補助的に行う検査として位置づけられています。つまり、KOH直接検鏡法が基本検査となり、デルマクイックはその診断精度を高めるための補完的役割を果たすのです。
デルマクイックの仕組みを簡単に説明すると、まず爪から少量の検体を採取します。この検体を専用の薬(しやく:特定の反応を起こす薬品)と混ぜ合わせ、白癬菌抗原と反応することで色の変化が起きるかを観察します。
白癬菌が存在すれば特定の色に変化するため、目視で結果を判定できます。この客観的な判定基準が、診断の確実性を高める重要なポイントです。
KOH直接検鏡法では白癬菌の菌糸(きんし:カビの細長い体)を顕微鏡で直接確認しますが、検体の状態によっては検出することが難しい場合があります。
一方、デルマクイックは化学的変化をみるため、より客観的な結果が得られるという利点があります。
両検査を併用することで、それぞれの検査法の弱点を補い合い、より確実な診断が可能になります。
【デルマクイック検査の診断精度と臨床的価値】

デルマクイック検査が持つ最大の価値は、その「高い診断精度」にあります。
具体的な数字で言うと、デルマクイックの感度(実際に白癬菌がいる場合に正しく陽性と判定する確率)は約84.8〜98%、特異度(実際に白癬菌がいない場合に正しく陰性と判定する確率)は約75〜83.9%と報告されています。
(引用元:爪白癬の診断における白癬菌抗原検査の意義と役割)
このような高い精度があるため、KOH直接検鏡法と組み合わせることで、爪白癬の診断確実性が格段に向上します。
特に価値が高いのは、KOH直接検鏡法で判定が難しいケースです。例えば、検体が少なかったり、菌量が少なかったりする場合に、デルマクイックは補完的な役割を果たします。
実際の臨床現場では、KOH直接検鏡法で「菌が見つからない」または「判定保留」となったケースでも、デルマクイック検査が陽性となり、爪白癬の診断が確定したという例も少なくありません。
ただし、デルマクイック検査にも限界はあります。検体の採取部位や量が不適切だと、正確な結果が得られないことがあります。
また、爪白癬の症状が非常に軽微な初期段階では、白癬菌の量が少なく検出されにくいケースもあります。このような場合は、KOH直接検鏡法の結果や臨床症状と合わせて総合的に判断することが重要です。
まとめ
爪白癬の診断において、デルマクイックはKOH直接検鏡法を補完し、診断の確実性を高める重要なツールです。
日本の保険診療では、原則KOH直接検鏡法を基本検査として実施した上で、デルマクイック検査を補助的に用いることで、より正確な診断が可能になります。
両検査の組み合わせにより、爪白癬と他の爪疾患との鑑別がより確実になり、適切な治療計画の立案につながります。
爪の変形や変色で悩んでいる方は、まずはお気軽にご相談ください。