- 2024年12月18日
- 2025年1月8日
「過敏性腸症候群(IBS)で薬をもらってるけど、なかなかすっきりしない」とお困りではありませんか?|症状別おすすめ治療薬を専門医が解説
過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)でお悩みの方も多いのではないでしょうか。
おなかの痛みや便通の異常に悩まされ、日常生活に支障をきたすこともある辛い症状です。
しかし、お薬をもらっているけど、下痢によくなる、お腹がすっきりしないなどの症状でお悩みの方はおられませんでしょうか?
この記事では、IBSの治療薬について詳しく解説していきます。症状改善に役立つ情報を、できるだけわかりやすくお伝えしていきますので、最後までご覧ください。
過敏性腸症候群について、詳しく知りたい方はは、こちら「過敏性腸炎とは?」もご参考ください。
✓過敏性腸症候群の薬ってどんなのがあるの?
✓具体的に、どの薬を使うの?
✓漢方ってどうなの?
このような疑問や不安を解決できます。
この記事を書いた、院長の高見 友也です。
『不安を安心に』変えることのできるクリニックを目指して、幅広い診療を行っています。ここでは、いくつかの専門医をもつ立場から、病気のことや治療のことをわかりやすく説明しています。
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目次
【IBSの症状と治療薬の種類】
過敏性腸症候群の症状は、大きく分けて「下痢型」「便秘型」「混合型」の3つのタイプがあります。
それぞれの症状に合わせて、適切な薬剤を選択することが重要です。
主な治療薬には以下のようなものがあります:
- 整腸剤:腸内環境を整える薬(ミヤBMやビオフェルミンなど)
- 腸管運動調整薬:腸の動きを整える薬(ポリカルボフィルやトリメブチンなど)
- 止瀉薬(下痢止め):下痢を抑える薬(イリボーやロペミンなど)
- 便秘薬:便秘を改善する薬(リンゼス、アミティーザ、酸化マグネシウムなど)
- 鎮痛剤:お腹の痛みを抑える薬(ブスコパンなど)
- 漢方薬:体質改善をサポートする薬(桂枝加芍薬湯など)
- 抗不安薬:腸と脳の関係を改善する薬
【症状別の推奨される治療薬】
≪ベースとなる薬≫
「下痢型」「便秘型」「混合型」いずれも方も、まずは整腸剤(ミヤBMやビオフェルミンなど)を使用します。症状が軽度の方であれば、これだけで症状が安定する場合もあります。
整腸剤のみでは、お腹のグルグルとした痛みや違和感、症状の改善が乏しい場合には、ポリカルボフィル(下痢型の場合は1.5g/日で開始)やトリメブチンなどを使用します。これらの薬は、使用する量によっても多少変わりますが、便秘の時には便秘を改善する方向へ作用し、下痢の時には下痢を改善する方向へ作用するため、利用しやすいお薬となっています。
≪下痢型≫
下痢型IBSの方には、まずはイリボーを使用することが多いです。
(女性は2.5μg/日,男性は5μg/日で開始し、それぞれ5μg/日、10μg/日まで増量可)
これらの薬が、他の下痢止めと異なり、体内のセロトニンという物質の作用を抑えて、下痢や腸管の過剰な働きを改善します。便秘になる方もおられますので、便が出にくくなった場合はご相談ください。
なお頓服として、ロペミンなどを使用することもあります。
≪便秘型≫
便秘型IBSの方には、一般的によく使用される酸化マグネシウムなども利用されますが、粘膜上皮機能変容薬と呼ばれるリナクロチ(リンゼス)やルビプロストン(アミティーザ)などが使用されます。
≪混合型≫
混合型の方は、症状の変化に応じて薬を使い分ける必要があります。医師と相談しながら、その時々の症状に合わせた薬を選択していきましょう。
【漢方について】
漢方は、上にあげたような西洋の薬を使用しても、あと一歩すっきりしない時や症状に応じて使用を検討します。
例えば、「しぶり腹」といって、「トイレに行ったらすっきりしそうなのに、行ってもすっきりない」「お腹がグズグズしてすっきりしない」などといった場合には、桂枝加芍薬湯が効果が期待できます。またトイレに行けない状況(電車やバスなど)など不安になると、行きたくなるなどといったときも、西洋薬の安定剤を使用することもありますが、不安を軽減させる漢方を使用することもあります。
【注意点】
どんな薬にも副作用のリスクはあります。困ったときは、まずお気軽にご相談ください。
最後に、薬物治療だけでなく、生活習慣の改善も重要です。規則正しい食事、適度な運動、ストレス管理など、総合的なアプローチで症状の改善を目指しましょう。
以上、過敏性腸症候群の治療薬について解説させていただきました。この記事が皆様の症状改善の一助となれば幸いです。