• 2025年6月4日

下肢静脈瘤手術前後で注意すべき薬物リスト|治療を安全に受けるために

下肢静脈瘤の治療を受ける際、多くの方が不安に感じるのが「普段飲んでいる薬は続けても大丈夫なのか」という点です。

実は下肢静脈瘤の手術を行う際、薬の種類によっては、手術自体ができなかったり、治療前後で服用を調整する必要がある薬があります。

今回は、下肢静脈瘤治療の専門医として、治療時に特に注意が必要な薬物について詳しく解説いたします。安全で効果的な治療を受けるために、ぜひ最後までお読みください。

この記事を書いた、院長の高見 友也です。

『不安を安心に』変えることのできるクリニックを目指して、幅広い診療を行っています。ここでは、いくつかの専門医をもつ立場から、病気のことや治療のことをわかりやすく説明しています。

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目次

  1. 【抗凝固薬・抗血小板薬】出血リスクを高める要注意薬(手術可能)
  2. 【ホルモン剤・一部の骨粗鬆症治療薬など】血栓形成傾向のある薬(飲んだままでは手術不可)
  3. 【注意が併存する病気】血栓症リスクがある場合(原則手術不可)
  4. 【治療前の準備で大切なこと】

【抗凝固薬・抗血小板薬】出血リスクを高める要注意薬(手術可能)

下肢静脈瘤の治療で注意が必要なのが、血液をサラサラにする薬です。
これらの薬は「抗凝固薬」や「抗血小板薬」と呼ばれます。

従来の外科手術(ストリッピング手術)では中止が必要でしたが、レーザー治療やグルー治療などの最新の低侵襲治療では、多くの場合そのまま服用を続けることができます。

  • ワーファリン(ワルファリン)
  • 新規抗凝固薬(DOAC):プラザキサ、イグザレルト、エリキュース、リクシアナなどの新しいタイプの抗凝固薬です。
  • アスピリン・クロピドグレル

これらの薬を急に中止すると血栓症のリスクが高まるため、レーザー治療やグルー治療という選択肢があることで、より安全に治療を受けられるようになりました。

【ホルモン剤・一部の骨粗鬆症治療薬など】血栓形成傾向のある薬(飲んだままでは手術不可)

血栓形成傾向のある薬は、内服したままでの治療は原則不可となります。

  • ステロイド(内服)
  • ホルモン剤
  • 一部の骨粗鬆症治療薬(ラロキシフェン、エビスタ、ビビアント)
  • 一部の経口避妊薬(ピルなど)
  • 抗がん剤
  • サイドマイド

内服中止が可能であれば、手術1か月前に中止して、術後2週間で再開すれば、
治療は可能です。

【注意が併存する病気】血栓症リスクがある場合(原則手術不可)

  • 肺塞栓や深部静脈血栓症(DVT)の既往のある方
  • 血栓性素因(プロテインS.C欠損症、抗リン脂質抗体症候群)のある方
  • ベーチェット病の治療中の方など

【治療前の準備で大切なこと】

下肢静脈瘤の治療を安全に受けるためには、以下の点が重要です。

①お薬手帳の持参

普段服用している薬、サプリメント、漢方薬まですべて医師に伝えることが大切です。
市販薬や健康食品の中にも、血液に影響を与えるものがあります。

②主治医との連携

他の病気で薬を処方されている場合は、その主治医との連携が必要です。
薬の中止や変更について、必ず処方医の許可を得てから行います。

③代替治療の検討

薬の中止が困難な場合は、治療方法の変更や手術時期の調整を検討することもあります。


【まとめ】

下肢静脈瘤の「治療薬」というものはありません。
塗り薬も飲み薬も存在しないのが現状ですので、治療は弾性ストッキング着用か手術となります。
しかし、手術については時に既存の服用薬との相互作用に十分注意する必要があります。

特にホルモン剤、ステロイド薬など血栓症のリスクがある薬については、治療前後での調整が必要な場合が多くあります。しかし、これらの薬を自己判断で中止することは危険です。

安全で効果的な治療を受けるためには、医師との十分な相談と、他科の主治医との連携が欠かせません。不安なことがあれば、遠慮なく医師にご相談ください。

気になった方やご心配な方、
早めに専門医へご相談ください。

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