• 2025年6月7日

前立腺肥大症の症状と治療法 – 40代から知っておくべき男性の健康情報

みなさん、こんにちは。今回は中高年の男性に多くみられる「前立腺肥大症」についてお話しします。

トイレが近い、夜中に何度もトイレに起きる、尿が出にくいといった症状でお悩みではありませんか?これらは前立腺肥大症のサインかもしれません。

前立腺肥大症は50歳以上の男性の約半数、80歳以上では8割以上の方が経験するといわれる非常に一般的な症状です。年齢とともに発症率が高くなる病気ですが、適切な知識と対処法で生活の質を保つことができます。

この記事を書いた、院長の高見 友也です。

『不安を安心に』変えることのできるクリニックを目指して、幅広い診療を行っています。ここでは、いくつかの専門医をもつ立場から、病気のことや治療のことをわかりやすく説明しています。

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目次

  1. 【前立腺肥大症とは?基本的な知識と症状】
  2. 【前立腺肥大症の診断と検査】
  3. 【前立腺肥大症の治療法 – 症状に合わせた選択肢】
  4. 【前立腺肥大症と前立腺がんの違い】

【前立腺肥大症とは?基本的な知識と症状】

前立腺とは、膀胱の出口の下にある栗の実ほどの大きさの臓器で、精液の一部を作る働きがあります。この前立腺が加齢とともに大きくなり、尿道を圧迫することで様々な排尿トラブルが起こるのが「前立腺肥大症」です。

医学的には「前立腺良性肥大症」または「BPH(Benign Prostatic Hyperplasia)」とも呼ばれます。「良性」という言葉が示すように、がんとは異なり、命に関わる病気ではありません。

主な症状には以下のようなものがあります。

  • 尿が出にくい(排尿困難)
  • 尿の勢いが弱くなる
  • 尿が途中で途切れる
  • 残尿感(排尿後も尿が残っている感覚)
  • 頻尿(トイレが近くなる)
  • 夜間頻尿(夜中に何度もトイレに起きる)
  • 尿意切迫感(突然強い尿意を感じる)
  • 尿失禁(尿が漏れる)

これらの症状は、QOL(生活の質)を大きく低下させる原因となります。特に夜間の頻尿は睡眠不足を招き、日中の活動にも影響を及ぼします。

前立腺肥大症の原因は、主に男性ホルモン(テストステロン)とその代謝物(ジヒドロテストステロン)の影響と考えられています。加齢とともにホルモンバランスが変化することで、前立腺の細胞が増殖するのです。

また、肥満や運動不足、アルコールの過剰摂取なども前立腺肥大症のリスク要因として知られています。

【前立腺肥大症の診断と検査】

前立腺肥大症の症状がある場合は、以下のような検査が行われます。

  1. 問診:医師が症状や生活習慣、既往歴などについて詳しく聞きます。また、国際前立腺症状スコア(IPSS)という質問票を用いて、症状の重症度を評価することもあります。
  2. 残尿測定:排尿後に膀胱に残っている尿の量を、超音波検査などで測定します。
  3. 血液検査:PSA(前立腺特異抗原)という値を測定します。前立腺肥大症でも軽度上昇することがありますが、前立腺がんとの鑑別にも重要な検査です。
  4. 超音波検査:前立腺の大きさや形状を詳しく調べます。(前立腺の大きさを評価するのに最も適した検査です)

これらの検査結果をもとに、前立腺肥大症の重症度を判断し、適切な治療法を選択します。ることが多いです。

【前立腺肥大症の治療法 – 症状に合わせた選択肢】

前立腺肥大症の治療は、症状の程度や生活への影響、合併症のリスクなどを考慮して選択されます。主な治療法は以下の通りです。

  • 食事:野菜や果物を多く摂り、脂肪分の多い食事を控えましょう。
  • 生活習慣の改善 以下のような生活習慣の改善も症状の軽減に役立ちます。
  • 水分摂取:一度に大量の水分を摂るのは避け、こまめに少量ずつ飲むようにしましょう。
  • アルコール・カフェイン:特に就寝前の摂取を控えましょう。
  • 排尿習慣:尿意を感じたらなるべく我慢せず、排尿するようにしましょう。
  • 運動:適度な運動は血行を促進し、前立腺の健康維持に役立ちます。

経過観察:軽度の症状で、日常生活にあまり支障がない場合は、生活習慣の改善を行いながら経過を観察することもあります。定期的に医師の診察を受け、症状の変化に注意することが大切です。

薬物療法:中等度以上の症状がある場合は、薬による治療が一般的です。
主に以下の種類の薬が使用されます。

  • α遮断薬(アルファしゃだんやく):前立腺や膀胱の出口の筋肉をゆるめて、尿の流れを改善します。
  • 5α還元酵素阻害薬(ファイブアルファかんげんこうそそがいやく):前立腺を小さくする効果があります。効果が現れるまで3〜6ヶ月かかることがあります。
  • 抗コリン薬:頻尿や尿意切迫感を和らげる効果があります。
  • PDE5阻害薬:勃起不全の治療薬として知られていますが、前立腺肥大症の症状も改善することがあります。

手術療法:薬物療法で効果が不十分な場合や、尿閉(尿が全く出なくなる状態)、水腎症(腎臓が尿で拡張した状態)、繰り返す尿路感染症などの合併症がある場合は手術が検討されます。

【前立腺肥大症と前立腺がんの違い】

前立腺肥大症と前立腺がんは異なる病気です。前立腺肥大症は前立腺の内側の組織が増殖するのに対し、前立腺がんは主に前立腺の外側から発生します。

そのため、症状も異なることが多く、前立腺がんの初期には排尿症状があまり現れないことがあります。また、前立腺肥大症があるからといって、前立腺がんになりやすいというわけではありません。

ただし、両方の病気が同時に存在することもあるため、50歳以上の男性は定期的な検診を受けることをおすすめします。


まとめ

前立腺肥大症は加齢とともに多くの男性が経験する病気ですが、早期発見と適切な治療により、症状を軽減し、生活の質を保つことが可能です。

排尿トラブルがあれば、医療機関を受診しましょう。症状の程度に応じて、経過観察、薬物療法、手術療法など様々な選択肢があります。

また、生活習慣の改善も症状の軽減に効果的です。バランスの良い食事、適度な運動、アルコールやカフェインの摂取制限などを心がけましょう。

前立腺の健康は男性の生活の質に大きく関わります。この記事が皆様の健康維持のお役に立てば幸いです。


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