• 2025年8月27日

昼寝、起きたときにいびきの記憶があるなら要注意|睡眠時無呼吸症候群の危険なサイン

昼寝から目覚めたとき、「あ、いびきをかいていたな」と感じたことはありませんか?

多くの方は「疲れていたから仕方がない」と軽く考えがちですが、実はこれは重要な健康のサインかもしれません。特に短時間の昼寝でいびきをかくということは、普段の夜間睡眠でも相当な呼吸の問題が起きている可能性があります。

今回は、昼寝時のいびきが示す危険信号と、睡眠時無呼吸症候群について詳しくお話しします。
この記事を読むことで、見過ごしがちな症状の重要性を理解し、適切な対処ができるようになります。

この記事を書いた、院長の高見 友也です。

『不安を安心に』変えることのできるクリニックを目指して、幅広い診療を行っています。ここでは、いくつかの専門医をもつ立場から、病気のことや治療のことをわかりやすく説明しています。

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目次

  1. 【昼寝でのいびきが示す深刻なサイン|なぜ短時間でも起こるのか】
  2. 【昼間の眠気と集中力低下|睡眠時無呼吸症候群の隠れた影響】
  3. 【今すぐ始められる対策と専門医受診のタイミング】

【昼寝でのいびきが示す深刻なサイン|なぜ短時間でも起こるのか】

昼寝時のいびきは、実は夜間よりも重要な意味を持っています。

通常、軽度のいびきは深い睡眠に入ったときに起こりやすいものです。しかし、30分から1時間程度の短い昼寝でいびきをかくということは、眠りに入った瞬間から上気道(のどや鼻の奥の空気の通り道)が狭くなっていることを意味します。

これは、あなたの呼吸器系に何らかの問題があることの強いサインなのです。

健康な人の場合、短時間の昼寝では深い睡眠段階まで到達しないため、通常はいびきをかきません。昼寝でいびきが出るということは、軽い眠りの段階でも気道が閉塞しやすい状態になっている証拠です。

さらに注意すべきは、昼寝から目覚めたときに「いびきをかいていた記憶がある」ということです。本来、深い睡眠中の出来事は記憶に残らないものです。

記憶に残るということは、いびきや呼吸の停止によって睡眠が浅くなったり、途中で覚醒していた可能性があります。これは睡眠時無呼吸症候群の典型的な症状の一つです。

睡眠時無呼吸症候群では、呼吸が止まることで血中の酸素濃度が下がり、脳が危険を感知して一時的に覚醒します。この覚醒は数秒程度と短いため完全に目は覚めませんが、睡眠の質を大きく低下させます。

【昼間の眠気と集中力低下|睡眠時無呼吸症候群の隠れた影響】

昼寝時のいびきがある方は、日中の様々な症状にも注意を払ってください。

危険な日中の症状

まず最も特徴的なのが、強い眠気です。十分な睡眠時間を取っているはずなのに、午後になると我慢できないほどの眠気に襲われます。会議中や運転中に眠くなるのは、単なる疲労ではなく病気のサインかもしれません。

集中力の低下も重要な症状です。仕事でミスが増えたり、読書や勉強に集中できなくなったりします。これは夜間の睡眠の質が悪く、脳が十分に休息できていないためです。

記憶力の低下も見過ごせません。新しいことを覚えにくくなったり、約束を忘れやすくなったりします。睡眠は記憶の整理と定着に重要な役割を果たすため、その質が悪いと記憶機能に直接影響します。

身体への深刻な影響

睡眠時無呼吸症候群は、全身の健康にも大きな影響を与えます。

血圧の上昇は最も早期に現れる症状の一つです。呼吸が止まることで血中の酸素が不足し、心臓がより強く働こうとするためです。治療せずに放置すると、将来的に心筋梗塞や脳卒中のリスクが大幅に高くなります。

糖尿病との関連も強く指摘されています。睡眠の質の悪化により、血糖値をコントロールするホルモンの働きが乱れるためです。

また、免疫力の低下により風邪をひきやすくなったり、肌荒れが起こりやすくなったりすることもあります。

詳しくはこちら『睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病の危険な関係 – 放置すると怖い合併症』もご参照ください。

社会的な問題

最近では、睡眠時無呼吸症候群による交通事故や労働災害が社会問題となっています。運転中の居眠りは、本人だけでなく多くの人の命に関わる重大な問題です。能を回復させる大切な時間です。その質が悪くなることで、全身に悪影響が及んでしまうのです。

【今すぐ始められる対策と専門医受診のタイミング】

昼寝時のいびきが気になる方への具体的な対処法をご紹介します。

生活習慣の改善策

まず取り組みやすいのは体重管理です。体重が増加すると、のどの周りにも脂肪がつき、気道が狭くなります。BMI値25未満を目標に、無理のない範囲でダイエットに取り組みましょう。

お酒は睡眠時無呼吸症候群を悪化させる大きな要因です。アルコールはのどの筋肉を緩め、気道の閉塞を起こりやすくします。特に夕方以降の飲酒は控えることをお勧めします。

寝る姿勢も重要です。仰向けで寝ると舌や軟口蓋が落ち込みやすくなります。横向きで寝る習慣をつけることで、症状の改善が期待できます。

喫煙者の方は禁煙を強くお勧めします。タバコは気道の炎症を引き起こし、睡眠時無呼吸症候群を悪化させます。

昼寝の取り方の工夫

昼寝をする際は、時間と姿勢に注意しましょう。15分から20分程度の短時間にとどめ、深い睡眠に入らないようにします。

椅子に座った状態での仮眠も効果的です。完全に横になると気道が閉塞しやすくなるため、少し上体を起こした状態で休息を取りましょう。

医療機関門医への相談が必要な場合

以下の症状がある場合は、早急に医療機関を受診してください。

  • 昼寝時に必ずいびきをかく
  • 家族から夜間の呼吸停止を指摘された
  • 日中の強い眠気で生活に支障がある
  • 高血圧や糖尿病などの持病がある
  • 運転中に眠気を感じることがある

検査と治療の流れ

医療機関では、まず詳しい問診を行います。睡眠の状況、日中の症状、既往歴などを総合的に評価します。

必要に応じて睡眠検査を実施します。自宅でできる簡易検査と精密検査があります。最近は自宅検査が普及し、より気軽に検査を受けられるようになりました。

治療法は症状の程度により異なります。軽症の場合は生活習慣の改善やマウスピース治療、中等症以上ではCPAP(シーパップ)という装置を使った治療が効果的です。

CPAPは鼻にマスクを装着し、一定の圧力で空気を送り込んで気道を広げる治療法です。多くの患者さんで使用することで改善を実感できます。

詳しくは下記記事もご参照ください。


まとめ

昼寝時のいびきは、決して軽視してはいけない重要な健康のサインです。短時間の昼寝でいびきをかくということは、夜間の睡眠でより深刻な呼吸障害が起きている可能性があります。

「たかが昼寝のいびき」と侮らず、早めに医療機関で相談することをお勧めします。適切な診断と治療により、質の良い睡眠と健康な毎日を取り戻すことができるのです。

あなたの健康は、あなた自身だけでなく、家族や周囲の人にとっても大切なものです。気になる症状があれば、一人で悩まずお気軽にご相談ください。

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