• 2025年7月30日

睡眠時無呼吸は簡単な検査でわかります|自宅でできる検査とは?

「いびきがひどい」「朝起きても疲れが取れない」「昼間に眠くなる」
このような症状でお悩みの方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。
放っておくと高血圧や心臓病などの重大な合併症を引き起こす可能性があります。

しかし、この病気は適切な検査を受けることで確実に診断できます。
今回は、睡眠時無呼吸症候群の検査方法について、 自宅でできる検査から精密検査まで詳しく解説いたします。

この記事を書いた、院長の高見 友也です。

『不安を安心に』変えることのできるクリニックを目指して、幅広い診療を行っています。ここでは、いくつかの専門医をもつ立場から、病気のことや治療のことをわかりやすく説明しています。

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目次

  1. 【自宅でできる簡単検査|スクリーニング検査の種類と方法】
  2. 【精密検査|ポリソムノグラフィー検査の詳細】
  3. 【入院PSG検査と自宅PSG検査の違い】
  4. 【検査を受けるタイミングと注意点|早期発見のメリット】

【自宅でできる簡単検査|スクリーニング検査の種類と方法】

睡眠時無呼吸症候群の検査は、まず自宅でできる簡単な検査から始まります。
この検査は「スクリーニング検査」と呼ばれ、 病気の可能性があるかどうかを調べる最初のステップです。

≪簡易型睡眠時無呼吸検査≫

最も一般的な自宅検査が「簡易型睡眠時無呼吸検査」です。 アプノモニターという小さな機械を使って行います。

この検査では、指先に酸素濃度を測るセンサーを付け、 鼻の下に呼吸の流れを感知するセンサーを装着します。 胸やお腹には呼吸の動きを測るベルトを巻きます。

機械は手のひらサイズで軽く、普段通りに眠ることができます。 一晩装着して眠るだけで、呼吸の状態を詳しく記録できます。

この検査で、AHI(睡眠1時間あたりの無呼吸と低呼吸の合計回数を表す指標)が40回/時以上の場合、CPAP治療の保険適応となります。

なお検査費用は保険適用(3割負担)で約3,000円程度です。(詳しくはこちらもご参照ください)

【精密検査|ポリソムノグラフィー検査の詳細】

上記検査(簡易検査)で睡眠時無呼吸症候群の疑いが強い場合(5回/時以上~40回/時未満の方が)、 精密検査が必要になります。 これを「ポリソムノグラフィー検査」と呼びます。

≪終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)≫

ポリソムノグラフィー検査は、睡眠時無呼吸症候群の 確定診断を行うための最も詳しい検査です。 従来は病院に一泊入院して行っていましたが、 現在は自宅でも実施できるようになりました。

(自宅PSG検査)

自宅PSG検査では、患者さんご自身でセンサーを装着します。 入院検査と同様に脳波、眼球運動、筋電図、心電図、 呼吸の流れ、胸腹部の動き、血液中の酸素濃度を測定します。

ただし、自宅では技師が常駐していないため、 センサーの装着方法を事前に詳しく説明し、 練習していただく必要があります。(当院では装着のサポートも行っておりますので、詳しくは検査実施の際、ご説明をさせていただきます)

自宅検査の最大の利点は、普段の睡眠環境で リラックスして検査を受けられることです。 入院による環境変化のストレスがないため、 より自然な睡眠状態を評価できます。またご自宅で検査ができますので、お仕事をされている方も日常生活をいつも通り送っていただきながら調べることができます。

(入院PSG検査)

病院での入院PSG検査では、約20個のセンサーを体に取り付けます。 頭部には脳波を測る電極、目の周りには眼球の動きを測るセンサー、 顎には筋肉の動きを測る電極を装着します。

胸部には心電図の電極、鼻と口には呼吸の流れを測るセンサー、 胸とお腹には呼吸の動きを測るベルトを巻きます。 足には筋肉の動きを測る電極も付けます。

たくさんのセンサーを付けますが、痛みはありません。 技師が常駐しているため、機器の不具合があっても すぐに対応できるのが大きなメリットです。

【入院PSG検査と自宅PSG検査の違い】

入院PSG検査のメリット・デメリット≫

メリット:

  • 技師が常駐しているため、機器の不具合や センサーの外れにすぐに対応できる
  • より正確で確実なデータが得られる
  • 緊急時の対応が可能
  • 過眠症や睡眠時随伴症(周期性四肢運動障害、 ムズムズ脚症候群)が疑われる場合、 四肢の動きの詳細な観察や日中の検査も実施できる

デメリット:

  • 慣れない環境でのストレスがある
  • 入院費用がかかる
  • 仕事や家事の都合をつけるのが困難

自宅PSG検査のメリット・デメリット≫

メリット:

  • 普段の睡眠環境でリラックスして検査できる
  • 入院の必要がなく、日常生活への影響が少ない
  • 費用が比較的安価

デメリット:

  • センサーの装着を自分で行うため、 装着不良によるデータの欠損の可能性がある
  • 機器の不具合があっても即座に対応できない
  • 検査の質が患者さんの理解度に左右される

どちらの検査方法を選ぶかは、患者さんの状態や 医療機関の方針により決定されます。

≪一番大きな違いは?≫

特に、睡眠時無呼吸症候群以外の睡眠障害が疑われる場合、 例えば過眠症や睡眠時随伴症(周期性四肢運動障害、 ムズムズ脚症候群など)では、四肢の動きの詳細な観察や 日中の検査も必要となるため、入院PSG検査が 推奨されることがあります。

医師と相談して、最適な検査方法を選択しましょう。

【検査結果の判定】

検査結果は「AHI(無呼吸低呼吸指数)」という数値で表されます。 これは1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数を示します。

AHIが5回未満であれば正常、5回以上15回未満で軽症、 15回以上30回未満で中等症、30回以上で重症と判定されます。

また、最低酸素飽和度や覚醒反応の回数なども 総合的に評価して診断が確定します。

【検査を受けるタイミングと注意点|早期発見のメリット】

睡眠時無呼吸症候群の検査は、症状を自覚したら できるだけ早く受けることが大切です。
適切なタイミングで検査を受けることで、 重大な合併症を予防できます。

≪検査を受けるべき症状≫

以下の症状がある方は、検査を受けることをお勧めします。

  • 大きないびきをかく
  • いびきが途切れる
  • 寝ている間に呼吸が止まっていると指摘される
  • 朝起きたときに頭痛がする
  • 口が渇いている
  • 日中に強い眠気を感じる
  • 集中力が低下する
  • 疲労感が続く
  • 記憶力が低下したと感じる
  • 夜中に何度も目が覚める
  • トイレに行く回数が増えた
  • 寝汗をかくことが多い   などの症状です。

≪検査前の注意事項≫

検査を受ける前には、いくつかの注意点があります。

  • 検査前日は普段通りの生活を心がけ
  • 過度な運動や飲酒は避けてください
  • カフェインの摂取も控えめにしましょう

≪早期発見のメリット≫

睡眠時無呼吸症候群を早期に発見し治療することで、 多くのメリットが得られます。

適切な治療により、質の良い睡眠を取り戻すことができます。
日中の眠気や疲労感が改善され、集中力や記憶力が向上します。

また、高血圧や糖尿病、心臓病などの合併症のリスクを 大幅に減らすことができます。
交通事故や労働災害の予防にもつながります。

治療方法も年々進歩しており、CPAP療法(シーパップ療法)という 装置を使った治療が一般的です。 マウスピースを使った治療や外科的治療も選択肢があります。


まとめ

睡眠時無呼吸症候群の検査は、簡易検査から精密検査まで、段階的に行われます。
まずは簡易検査を行い、必要に応じて精密検査を行い診断を受けることが重要です。

適切な検査と治療により、質の良い睡眠と健康な生活を 取り戻すことができます。

睡眠は人生の3分の1を占める大切な時間です。
良い睡眠は、良い人生の基盤となります。 気になる症状がある方は、ぜひ検査を受けてみてください。

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